《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
ジュストベルはもう一つ大きな溜息をつくと、ラインアーサの頭上に指で複雑な図式を描いた。陣から溢れ出る光がラインアーサの身体の異常を癒してゆく。先ほどまでの倦怠感は軽くなり、頭痛も軽減されている。
「……この様に治癒は簡単ですが、貴方様の睡眠不足までは解消出来ませんぞ?」
「ジュストベル……何で…」
何故寝不足とわかるのか、疑問に思い声を上げかけたが。
「御目元の隈が酷い事になっております。本日の公務は明日へずらし、今日は一日お休みくだされ。既にハリ殿がそう手続きを行っている筈です」
そういえば帰国してから調度半月程経った。ラインアーサもハリも溜まっていた公務や執務をこなし、疲れが出たのだろうか。ハリもまた今日は休みを取ったらしい。
「そんな事言ったって…! そういう訳にはいかないだろ」
「眠れないと言うのなら、一瞬で眠れる煌像術でもかけて差し上げましょうか?」
「いや、いいよ……遠慮しておく!」
不敵に微笑むジュストベルに、ラインアーサもぎこちない笑みを返し即答した。
「本当に、ハリ殿の方がよほど王子らしい行動をなさります。ラインアーサ様には見習って欲しいものです」
「……この様に治癒は簡単ですが、貴方様の睡眠不足までは解消出来ませんぞ?」
「ジュストベル……何で…」
何故寝不足とわかるのか、疑問に思い声を上げかけたが。
「御目元の隈が酷い事になっております。本日の公務は明日へずらし、今日は一日お休みくだされ。既にハリ殿がそう手続きを行っている筈です」
そういえば帰国してから調度半月程経った。ラインアーサもハリも溜まっていた公務や執務をこなし、疲れが出たのだろうか。ハリもまた今日は休みを取ったらしい。
「そんな事言ったって…! そういう訳にはいかないだろ」
「眠れないと言うのなら、一瞬で眠れる煌像術でもかけて差し上げましょうか?」
「いや、いいよ……遠慮しておく!」
不敵に微笑むジュストベルに、ラインアーサもぎこちない笑みを返し即答した。
「本当に、ハリ殿の方がよほど王子らしい行動をなさります。ラインアーサ様には見習って欲しいものです」