《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「じゃあ俺も帰るよ。ジュリはほっといても大丈夫そうだし」
「何だよ冷たいぜ……二人とも! 俺の事見捨てるのか?」
「わっ、離せよジュリ!」
そんな遣り取りをしている内に、ハリはライオネルに報告をしておくと言い残し本当に先に帰ってしまった。
「おいジュリ〜! 早いとこ選べよ」
結局ラインアーサはジュリアンの土産選びに付き合わされていた。しかもそれに長いこと時間をかけている。
「もうちょい待てよ! 今リーナに似合う花を吟味してるんだから」
「はいはい……俺は店の外で待ってるからな」
ジュリアンの妹贔屓は相当なものだ。
ラインアーサは花屋を出て壁に寄りかかると店先に飾ってある可愛らしい花にふと目を向けた。
「この花たしか……君影草、だっけ」
小振りの鉢を手に取ると、少し甘く透明感のある香りに計らずもスズランの事を思い出してしまった。彼女は今何をしているだろうか?
そんな事を考えていると店の間の狭い路地から、何やら争う様な声が聞こえてきた。よくよく聞いてみると、どうやら大の男二人掛かりで女性一人に無理やり絡んでいる様だ。
「なんだ? こんな昼下がりから物騒だな……」
「何だよ冷たいぜ……二人とも! 俺の事見捨てるのか?」
「わっ、離せよジュリ!」
そんな遣り取りをしている内に、ハリはライオネルに報告をしておくと言い残し本当に先に帰ってしまった。
「おいジュリ〜! 早いとこ選べよ」
結局ラインアーサはジュリアンの土産選びに付き合わされていた。しかもそれに長いこと時間をかけている。
「もうちょい待てよ! 今リーナに似合う花を吟味してるんだから」
「はいはい……俺は店の外で待ってるからな」
ジュリアンの妹贔屓は相当なものだ。
ラインアーサは花屋を出て壁に寄りかかると店先に飾ってある可愛らしい花にふと目を向けた。
「この花たしか……君影草、だっけ」
小振りの鉢を手に取ると、少し甘く透明感のある香りに計らずもスズランの事を思い出してしまった。彼女は今何をしているだろうか?
そんな事を考えていると店の間の狭い路地から、何やら争う様な声が聞こえてきた。よくよく聞いてみると、どうやら大の男二人掛かりで女性一人に無理やり絡んでいる様だ。
「なんだ? こんな昼下がりから物騒だな……」