《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「……セィシェルとは、一緒に食材の買い出しに来てたんだけど。あの、はぐれちゃって」
「迷子かよ。これだからガキは」
感情的に言葉を漏らすとその言葉にむっとしたのか、スズランは小さく頬を膨らませた。しかしラインアーサの口も止まらなかった。
「あいつ。普段から異常なほどお前に過保護な癖に、こんな肝心な時に守ってやれないなんて馬鹿じゃあないのか?」
「セィシェルは馬鹿じゃないもん! わたしが勝手な行動とったのが悪いんだもの…」
「……」
セィシェルを庇う言い方に更に苛立ったが、スズランが今にも泣き出しそうな表情を浮かべたのでラインアーサはそれ以上何も言えなかった。
暫くの間その場に静寂が訪れる。
その静寂を一人の男が打ち破った。
「あ! いたいた、探したんだぜー? 表で待ってるとか言ってた癖に居ないし、代わりに柄の悪い二人組は居るしで…って誰!? その女の子!!」
ラインアーサに気付き路地に入って来たジュリアンの姿に、スズランが若干怯えた様に身を竦めた。
「悪いジュリ…! こいつがその二人組に此処で絡まれてたんだ。スズラン、大丈夫だ。この男は民兵護衛警備隊の…」
「迷子かよ。これだからガキは」
感情的に言葉を漏らすとその言葉にむっとしたのか、スズランは小さく頬を膨らませた。しかしラインアーサの口も止まらなかった。
「あいつ。普段から異常なほどお前に過保護な癖に、こんな肝心な時に守ってやれないなんて馬鹿じゃあないのか?」
「セィシェルは馬鹿じゃないもん! わたしが勝手な行動とったのが悪いんだもの…」
「……」
セィシェルを庇う言い方に更に苛立ったが、スズランが今にも泣き出しそうな表情を浮かべたのでラインアーサはそれ以上何も言えなかった。
暫くの間その場に静寂が訪れる。
その静寂を一人の男が打ち破った。
「あ! いたいた、探したんだぜー? 表で待ってるとか言ってた癖に居ないし、代わりに柄の悪い二人組は居るしで…って誰!? その女の子!!」
ラインアーサに気付き路地に入って来たジュリアンの姿に、スズランが若干怯えた様に身を竦めた。
「悪いジュリ…! こいつがその二人組に此処で絡まれてたんだ。スズラン、大丈夫だ。この男は民兵護衛警備隊の…」