《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
スズランも調子の良いジュリアンへは普通に対応しており、全くもって面白くない。
「おい、ジュリ。そろそろ」
「ああ、戻るか。リーナの土産も買ったしな! ……それとさっきの二人組、あれ旧市街の奴らだ。最近は城下の街に出てきては小さな揉め事を色々起こしてると報告が入ってる。俺もたまに巡警当番の時見かけるようになったから注意してる」
「……そうか」
「非番でもさっき捕まえときゃよかったか?」
難しい顔で話し込んでいると、スズランが不思議そうな顔をラインアーサに向けてくる。
「ねぇ。……ライアも警備隊の人なの?」
警備隊員のジュリアンと話し込んでいたためにそう思ったのか。
「いや、違う。俺は……警備隊ではない」
「ああ、スズランちゃん。この男は全然そう見えないから驚くかもだけど、これでもこの国の王…っむが!?」
「!?」
ラインアーサは咄嗟にジュリアンの顔に掌底打ちを喰らわせ、その発言を阻止した。そして限りなく小声で告げる。
「今だけでいいから、俺の事アーサって呼ぶな」
「は? いーけど何、秘密にしてるわけ? めんどくせぇな、堂々と名乗っちまえばいいのに」
「その方が都合いいんだよ!」
「おい、ジュリ。そろそろ」
「ああ、戻るか。リーナの土産も買ったしな! ……それとさっきの二人組、あれ旧市街の奴らだ。最近は城下の街に出てきては小さな揉め事を色々起こしてると報告が入ってる。俺もたまに巡警当番の時見かけるようになったから注意してる」
「……そうか」
「非番でもさっき捕まえときゃよかったか?」
難しい顔で話し込んでいると、スズランが不思議そうな顔をラインアーサに向けてくる。
「ねぇ。……ライアも警備隊の人なの?」
警備隊員のジュリアンと話し込んでいたためにそう思ったのか。
「いや、違う。俺は……警備隊ではない」
「ああ、スズランちゃん。この男は全然そう見えないから驚くかもだけど、これでもこの国の王…っむが!?」
「!?」
ラインアーサは咄嗟にジュリアンの顔に掌底打ちを喰らわせ、その発言を阻止した。そして限りなく小声で告げる。
「今だけでいいから、俺の事アーサって呼ぶな」
「は? いーけど何、秘密にしてるわけ? めんどくせぇな、堂々と名乗っちまえばいいのに」
「その方が都合いいんだよ!」