《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
ラインアーサがそう目配せすると、ジュリアンは半ば呆れ混じりの表情で続けた。
「あー、えーと。この男は俺の弟みたいな存在って言うか……うーん」
「国王陛下の為に様々な情報を集めるのが俺の仕事だ……断じてロリコンでも変態でもない。人攫いなんて以ての外」
「そうそう。断じてロリコンでも変態でも…ってお前、何言ってんの?」
ラインアーサは此処ぞとばかりにあの忌々しい誤解を訂正した。
「……そう、なんですか」
しかし何故か少し落胆した様にスズランが小さく俯いた。まださっきの出来事が尾を引いて元気がないのだろうか。
「なあ、ジュリ。悪いけど先に戻っててくれる? 俺はスズランを送ってから戻るから」
「えっ!? あ、あの。わたし一人で大丈夫です! ちゃんと帰れます…! それにセィシェルの事を探さないと」
「それで? 会えずにまたさっきの奴らと鉢合わせでもしたらどうするつもり?」
ないとも言い切れない可能性を口にした瞬間、スズランはまた身を強張らせた。
「でも…」
「えー? じゃあ俺も一緒に送ってくよ? 方向的にも一緒じゃん!」
軽い調子で便乗して来るジュリアンに、ラインアーサは再び鋭く目配せをする。
「あー、えーと。この男は俺の弟みたいな存在って言うか……うーん」
「国王陛下の為に様々な情報を集めるのが俺の仕事だ……断じてロリコンでも変態でもない。人攫いなんて以ての外」
「そうそう。断じてロリコンでも変態でも…ってお前、何言ってんの?」
ラインアーサは此処ぞとばかりにあの忌々しい誤解を訂正した。
「……そう、なんですか」
しかし何故か少し落胆した様にスズランが小さく俯いた。まださっきの出来事が尾を引いて元気がないのだろうか。
「なあ、ジュリ。悪いけど先に戻っててくれる? 俺はスズランを送ってから戻るから」
「えっ!? あ、あの。わたし一人で大丈夫です! ちゃんと帰れます…! それにセィシェルの事を探さないと」
「それで? 会えずにまたさっきの奴らと鉢合わせでもしたらどうするつもり?」
ないとも言い切れない可能性を口にした瞬間、スズランはまた身を強張らせた。
「でも…」
「えー? じゃあ俺も一緒に送ってくよ? 方向的にも一緒じゃん!」
軽い調子で便乗して来るジュリアンに、ラインアーサは再び鋭く目配せをする。