《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「ジュリが一緒だとまた何を言い出すか分からないからな」
「へーぇ…! 知らなかった。お前って意外と独占欲強いのかぁ。……さては俺が邪魔者って事だろ?」
途端にジュリアンはにやにやと下世話な笑みを浮かべる。
「なんの事だよ! 一応、広場を一周りしてセィシェルが見つからなかったらそのまま酒場まで送る。それならいいだろ?」
スズランは不安げにこくりと頷くも、先程からすっかり元気がない。ラインアーサと二人きりになるのが余程嫌なのだろうか?
生暖かい目で見てくるジュリアンを放置してスズランと共に広場を一周りして見たが、結局セィシェルとは遭遇出来なかった。これ以上は時間の無駄と見なし、ラインアーサはスズランを酒場まで送る事にした。
「あいつ、先に帰ったんじゃあないのか? 何考えてんだよ!」
「……」
何故か無性にイライラした。スズランみたいな無防備で危なっかしい娘が一人で街をうろついて居たら、先程の様な輩の格好の餌食だ。セィシェルが過保護になってしまう気持ちも分からなくはない。
スズランは先程から口数こそ少ないものの街の様子を観察しながら度々目を輝かせている。そんなに物珍しい風景でもないのに。
「へーぇ…! 知らなかった。お前って意外と独占欲強いのかぁ。……さては俺が邪魔者って事だろ?」
途端にジュリアンはにやにやと下世話な笑みを浮かべる。
「なんの事だよ! 一応、広場を一周りしてセィシェルが見つからなかったらそのまま酒場まで送る。それならいいだろ?」
スズランは不安げにこくりと頷くも、先程からすっかり元気がない。ラインアーサと二人きりになるのが余程嫌なのだろうか?
生暖かい目で見てくるジュリアンを放置してスズランと共に広場を一周りして見たが、結局セィシェルとは遭遇出来なかった。これ以上は時間の無駄と見なし、ラインアーサはスズランを酒場まで送る事にした。
「あいつ、先に帰ったんじゃあないのか? 何考えてんだよ!」
「……」
何故か無性にイライラした。スズランみたいな無防備で危なっかしい娘が一人で街をうろついて居たら、先程の様な輩の格好の餌食だ。セィシェルが過保護になってしまう気持ちも分からなくはない。
スズランは先程から口数こそ少ないものの街の様子を観察しながら度々目を輝かせている。そんなに物珍しい風景でもないのに。