《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「お前、もしかしてあまり街に来たことないのか?」
ふと疑問に思い尋ねてみる。
「うん、小さい頃マスターと一緒に何度か来たことあるけど…」
「全然ってこと?」
「うぅ……だから、今日はお手伝いのついでに街を歩いてみたくてセィシェルに無理言って付いてきたの…! だってせっかく十六歳になったのに、一人で街も歩けないなんて…っ」
ラインアーサは耳を疑った。国境近くの田舎に住む町娘でも、此処まで酷くはない気がするが。
一体スズランはどんな育てられ方をしたのだろう。
───何処ぞの姫君でもあるまいし。
「どんだけ箱入りなんだよ…」
「なによ! わたしだって気にしてるんだから…!」
まさかとは思っていたが、此処までとは。しかし、それがスズランの純真無垢な雰囲気を作り出している要因なのか。そしてそんなスズランに嫌われているかと思い返すと悲しくなる。
そうして適当な会話をしているうちに、二人は酒場へと到着してしまった。もう少しゆっくり歩けば良かったと小さく後悔する。まだ離れ難く、少しでも2人きりの時間を過ごしたいラインアーサはスズランを建物の影へと引っ張り込んだ。
「っなに? ……ライア?」
ふと疑問に思い尋ねてみる。
「うん、小さい頃マスターと一緒に何度か来たことあるけど…」
「全然ってこと?」
「うぅ……だから、今日はお手伝いのついでに街を歩いてみたくてセィシェルに無理言って付いてきたの…! だってせっかく十六歳になったのに、一人で街も歩けないなんて…っ」
ラインアーサは耳を疑った。国境近くの田舎に住む町娘でも、此処まで酷くはない気がするが。
一体スズランはどんな育てられ方をしたのだろう。
───何処ぞの姫君でもあるまいし。
「どんだけ箱入りなんだよ…」
「なによ! わたしだって気にしてるんだから…!」
まさかとは思っていたが、此処までとは。しかし、それがスズランの純真無垢な雰囲気を作り出している要因なのか。そしてそんなスズランに嫌われているかと思い返すと悲しくなる。
そうして適当な会話をしているうちに、二人は酒場へと到着してしまった。もう少しゆっくり歩けば良かったと小さく後悔する。まだ離れ難く、少しでも2人きりの時間を過ごしたいラインアーサはスズランを建物の影へと引っ張り込んだ。
「っなに? ……ライア?」