《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
何処と無く気恥ずかしい気持ちを打ち消す様に、ラインアーサは左右に激しく頭を振った。
(さっきの、電気みたいな衝撃はなんだ…? まさか……)
「……君、名前はスゥって言うのか?」
何とか気を持ち直して、そう尋ねる。
「うん! スゥだよ! どぉ? ライアおにいちゃん、スゥのおまじないでいたいのなおった?」
まっすぐにラインアーサを見つめてくる瞳は涙が晴れても尚、淡い虹色を湛えていてとても美しい。
「あ、ああ…! 本当にもうぜんぜん痛くないよ、ありがとうスゥ!」
口の端に指先で触れると、その傷は本当に癒えていた。
(まさかこの子……癒しの煌像術を使えるのか?)
「どういたしまして! あ、あのね。スゥ、パパをさがしてるの……」
一転して少女はとても不安げに、さみしそうな顔でラインアーサにそう打ち明けた。どうやら父親とはぐれたらしい。
気が付けば、夕陽はすっかり落ちて辺りも薄暗くなってきていた。すぐ夜が来てしまう、そうなれば人を捜すのは困難になる。
ラインアーサは目の前に困っている人がいると放っておくことが出来ない性格である。その所為か、どうしても自身のことを後回しにしてしまう所があるのだが───。
(さっきの、電気みたいな衝撃はなんだ…? まさか……)
「……君、名前はスゥって言うのか?」
何とか気を持ち直して、そう尋ねる。
「うん! スゥだよ! どぉ? ライアおにいちゃん、スゥのおまじないでいたいのなおった?」
まっすぐにラインアーサを見つめてくる瞳は涙が晴れても尚、淡い虹色を湛えていてとても美しい。
「あ、ああ…! 本当にもうぜんぜん痛くないよ、ありがとうスゥ!」
口の端に指先で触れると、その傷は本当に癒えていた。
(まさかこの子……癒しの煌像術を使えるのか?)
「どういたしまして! あ、あのね。スゥ、パパをさがしてるの……」
一転して少女はとても不安げに、さみしそうな顔でラインアーサにそう打ち明けた。どうやら父親とはぐれたらしい。
気が付けば、夕陽はすっかり落ちて辺りも薄暗くなってきていた。すぐ夜が来てしまう、そうなれば人を捜すのは困難になる。
ラインアーサは目の前に困っている人がいると放っておくことが出来ない性格である。その所為か、どうしても自身のことを後回しにしてしまう所があるのだが───。