《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
風に馳せる想い
王宮へ戻ると応接間からジュリアンの明るい声が漏れ聞こえてくる。ラインアーサは扉を軽く叩いて応接間へ顔を覗かせた。
「ずいぶんと賑やかだな……何の話でそんなに盛り上がってるんだ?」
ラインアーサの声にその場に居た顔触れの視線が集まる。ジュリアンにリーナ、イリアーナが三人でお茶を楽しんでいる所の様だ。
「お、アーサ! もう戻ったのか? 俺はてっきりあのままスズランちゃんとお楽しみなのかと…」
「っな……一体何の話してるんだよ!!」
にやつくジュリアンにラインアーサは顔を顰めたが、イリアーナは関心と期待を込めた眼差しで見上げてくる。
「アーサ、本当なの? 好いている人が居るのならわたしにもちゃんと紹介して頂戴ね?」
「姉上まで…!」
やはりジュリアンをあのままにして置いてきたのは間違いだった。ラインアーサは後悔の溜息を漏らす。
すると横から懐かしい声が聞こえ、そちらへ向き直ると可憐な女性が目に入った。
「アーサ様、お久しぶりです。この度、イリア様の正式な専属侍女としてお仕事を頂ける事になりました。今後ともよろしくお願いいたします」
「リーナ! こちらこそ、姉上の事を頼むよ」
「ずいぶんと賑やかだな……何の話でそんなに盛り上がってるんだ?」
ラインアーサの声にその場に居た顔触れの視線が集まる。ジュリアンにリーナ、イリアーナが三人でお茶を楽しんでいる所の様だ。
「お、アーサ! もう戻ったのか? 俺はてっきりあのままスズランちゃんとお楽しみなのかと…」
「っな……一体何の話してるんだよ!!」
にやつくジュリアンにラインアーサは顔を顰めたが、イリアーナは関心と期待を込めた眼差しで見上げてくる。
「アーサ、本当なの? 好いている人が居るのならわたしにもちゃんと紹介して頂戴ね?」
「姉上まで…!」
やはりジュリアンをあのままにして置いてきたのは間違いだった。ラインアーサは後悔の溜息を漏らす。
すると横から懐かしい声が聞こえ、そちらへ向き直ると可憐な女性が目に入った。
「アーサ様、お久しぶりです。この度、イリア様の正式な専属侍女としてお仕事を頂ける事になりました。今後ともよろしくお願いいたします」
「リーナ! こちらこそ、姉上の事を頼むよ」