《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「しかしアーサ。父様は心配なのだよ? ……ジュリ君、うちの向こう見ずで頑固者な息子をどうか頼んだよ」
「もちろんです! 承知致しました陛下!」
ライオネルの心配性はラインアーサがいくつになっても治らないだろう。
イリアーナの捜索に国を出る時にも、長い時間をかけてライオネルを説得したものだ。定期的に連絡を入れること、年に数回は必ず顔を見せに帰国すること、その他にも幾つかの条件付きで成人と同時にラインアーサは国を出た。
思えば内乱後───。
ライオネルは妻 エテジアーナに先立たれ、娘のイリアーナは人質に囚われたまま行方不明という状況で国が傾かないよう国事を怠らず奮励してきた。
残された最愛の息子が危険な目に合わないか、気が気でない日々をこの四年間過ごして来たのだろう。その事についてはラインアーサも重々理解してはいるのだが。
「まったく! 父上は心配性が過ぎるよ…」
「そうか〜? 陛下は本当に良い父親だと思うぜ! 俺の親父なんて年に数度しか会えないからな」
午後一番で警備隊の訓練場へ戻るというジュリアンを見送る為、ラインアーサは王宮の門口まで出て来ていた。
「もちろんです! 承知致しました陛下!」
ライオネルの心配性はラインアーサがいくつになっても治らないだろう。
イリアーナの捜索に国を出る時にも、長い時間をかけてライオネルを説得したものだ。定期的に連絡を入れること、年に数回は必ず顔を見せに帰国すること、その他にも幾つかの条件付きで成人と同時にラインアーサは国を出た。
思えば内乱後───。
ライオネルは妻 エテジアーナに先立たれ、娘のイリアーナは人質に囚われたまま行方不明という状況で国が傾かないよう国事を怠らず奮励してきた。
残された最愛の息子が危険な目に合わないか、気が気でない日々をこの四年間過ごして来たのだろう。その事についてはラインアーサも重々理解してはいるのだが。
「まったく! 父上は心配性が過ぎるよ…」
「そうか〜? 陛下は本当に良い父親だと思うぜ! 俺の親父なんて年に数度しか会えないからな」
午後一番で警備隊の訓練場へ戻るというジュリアンを見送る為、ラインアーサは王宮の門口まで出て来ていた。