《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
こういう時、ジュリアンの勘の良さを恨めしく思う。ラインアーサはジュリアンに目配せをし頭を激しく左右に振った。これではジュリアンに肯定して見せたも同然なのだが〝警備員〟と〝ライア〟が同一人物だと今ここで明かされるよりはまだマシだと思ったのだ。
「名前は知ってるけど、あいつ恥ずかしがり屋だからなぁ……いや、でもスズランちゃんも知ってる奴だと思うよ?」
「え…! わたしも知ってる人? もしかして…」
(ジュリ……本当にやめてくれ!)
ラインアーサは必死にジュリアンを睨みつけるが、話の流れは完全に握られている。
「もちろん。この国に住む民なら皆知ってるさ、それに誰でも一度は見かけた事があるんじゃあないかな?」
何故か得意げな言い方をするジュリアン。
暗に警備員の正体はこの国の王子だと言っているのか?
ラインアーサは国民に対してそれ程目立った行動は起こしていないつもりだが。
収穫祭などの祝祭時に、王子として公式で人前に立つこともあるがそれも年に数回の筈だ。
「そんな、それじゃ心当たりないです……」
「そう? じゃあさ、そのマント確実に本人に手渡してやるよ! ちょうど今からそいつと顔を合わせる予定だしね」
「名前は知ってるけど、あいつ恥ずかしがり屋だからなぁ……いや、でもスズランちゃんも知ってる奴だと思うよ?」
「え…! わたしも知ってる人? もしかして…」
(ジュリ……本当にやめてくれ!)
ラインアーサは必死にジュリアンを睨みつけるが、話の流れは完全に握られている。
「もちろん。この国に住む民なら皆知ってるさ、それに誰でも一度は見かけた事があるんじゃあないかな?」
何故か得意げな言い方をするジュリアン。
暗に警備員の正体はこの国の王子だと言っているのか?
ラインアーサは国民に対してそれ程目立った行動は起こしていないつもりだが。
収穫祭などの祝祭時に、王子として公式で人前に立つこともあるがそれも年に数回の筈だ。
「そんな、それじゃ心当たりないです……」
「そう? じゃあさ、そのマント確実に本人に手渡してやるよ! ちょうど今からそいつと顔を合わせる予定だしね」