《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「やだっ! スゥ、ライアおにいちゃんとパパさがすんだもん、かえらない!」
スゥはラインアーサの足元にしがみつき必死に首を横に振った。先程折角見せてくれた愛らしい笑顔はすっかり曇ってしまっている。
「あの、この子は嫌がってるように見えるけど……君はこの子の兄さん、なのか?」
二人を見比べる。
さらりとした金色の髪と垂れた目元に少し生意気な印象を受ける。あまり似ていないと思いながらもそう疑問を投げかけた。
「は? 何だあんた。誰だよ、スズから離れろ! それに、関係のない奴に教える義理はないね」
「……なっ」
少年の口の悪さにラインアーサは苛立ちを覚えた。しかしスゥをまた怖がらせたくはなかったので何とか流す。
「しかもここって王宮の敷地だろ? 一般人が勝手に侵入しちゃあいけないはずだぜ! 俺たちも早くここから……ってあんたまさか、人攫いなんじゃないか? 上手いこと言ってスズのこと攫うつもりじゃ…」
だがこの言い草には流石に耐え切れず、完全に頭に血が上ってしまった。ラインアーサは少年を睨み付け、低い声で凄んだ。
「……お前、黙って聞いていれば。勝手にこっちを人攫い扱いか? 王宮の敷地内? そんな事は知っている」
スゥはラインアーサの足元にしがみつき必死に首を横に振った。先程折角見せてくれた愛らしい笑顔はすっかり曇ってしまっている。
「あの、この子は嫌がってるように見えるけど……君はこの子の兄さん、なのか?」
二人を見比べる。
さらりとした金色の髪と垂れた目元に少し生意気な印象を受ける。あまり似ていないと思いながらもそう疑問を投げかけた。
「は? 何だあんた。誰だよ、スズから離れろ! それに、関係のない奴に教える義理はないね」
「……なっ」
少年の口の悪さにラインアーサは苛立ちを覚えた。しかしスゥをまた怖がらせたくはなかったので何とか流す。
「しかもここって王宮の敷地だろ? 一般人が勝手に侵入しちゃあいけないはずだぜ! 俺たちも早くここから……ってあんたまさか、人攫いなんじゃないか? 上手いこと言ってスズのこと攫うつもりじゃ…」
だがこの言い草には流石に耐え切れず、完全に頭に血が上ってしまった。ラインアーサは少年を睨み付け、低い声で凄んだ。
「……お前、黙って聞いていれば。勝手にこっちを人攫い扱いか? 王宮の敷地内? そんな事は知っている」