《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「違う。あいつが勝手に勘違いしたんだ。俺が自分からそう名乗った訳じゃない」
「へぇ。アーサはもっと器用なんだと思ってたんだが、意外と不器用なんだな」
ジュリアンが思いがけず真面目な顔つきになる。
「お前自身はあの子と喧嘩ばっかりの癖に、警備員として接すれば素直になれるって訳か?」
「うるさい」
「───スズランちゃん、いい子だな! 特に笑顔が可憐でさ。お前が惚れるのもわかるぜ? んー、けどちょっと鈍いな。だって普通は気がつくだろ。いくら暗がりの森の中でもさ、どっちもお前なんだから」
ラインアーサもそれは感じていたが、スズランはやはり少し鈍感なのだろうか。
「スズランはただ純粋なんだよ…」
「うわそれ結構重症だぞ、お前! だったらもう何も考えずに全て打ち開ければいいじゃん。でないと後々言い出しづらくなるぜ?」
「分かってはいる……自分で何とかする。それでもしまた余計な事をしたらただじゃあ置かないからな、ジュリ!」
「はいはい。そんな怒らなくても良いじゃん。頭固いなぁ」
「ジュリが何も考えなさすぎなんだよ」
そう口では言いつつ、今後もスズランに打ち明けるつもりはない。この想いは諦めるつもりでいる。
「へぇ。アーサはもっと器用なんだと思ってたんだが、意外と不器用なんだな」
ジュリアンが思いがけず真面目な顔つきになる。
「お前自身はあの子と喧嘩ばっかりの癖に、警備員として接すれば素直になれるって訳か?」
「うるさい」
「───スズランちゃん、いい子だな! 特に笑顔が可憐でさ。お前が惚れるのもわかるぜ? んー、けどちょっと鈍いな。だって普通は気がつくだろ。いくら暗がりの森の中でもさ、どっちもお前なんだから」
ラインアーサもそれは感じていたが、スズランはやはり少し鈍感なのだろうか。
「スズランはただ純粋なんだよ…」
「うわそれ結構重症だぞ、お前! だったらもう何も考えずに全て打ち開ければいいじゃん。でないと後々言い出しづらくなるぜ?」
「分かってはいる……自分で何とかする。それでもしまた余計な事をしたらただじゃあ置かないからな、ジュリ!」
「はいはい。そんな怒らなくても良いじゃん。頭固いなぁ」
「ジュリが何も考えなさすぎなんだよ」
そう口では言いつつ、今後もスズランに打ち明けるつもりはない。この想いは諦めるつもりでいる。