《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
平和を誇るシュサイラスア大国の名に恥じぬよう奮励するライオネルを支え、いずれはその国王と言う座を受け継ぐ覚悟は出来ている。
スズランの事を抜きで考えるにしても、この愛する自国ではどんな小さないざこざも起こって欲しくないと願っている。ラインアーサは頬杖をつき、また小さく息を吐く。
「じゃあ今夜は息抜きに付き合えよ、ハリ。ちょうど週末だし」
「今夜、ですか…?」
「ん? もしかして都合が悪かったか? ハリに会わせたい人がいるんだけどな」
「少し用事がありまして。それはまたの機会に」
ハリ自身もまた日々の執務をこなし、抜かりのなさは誰よりも完璧だと言っていい程だ。
「なら俺一人で久々に羽でも伸ばしてくるかな」
「……伸ばし過ぎは駄目ですよ? 貴方は直ぐに気が大きくなるというか、そもそも酒に弱いですからね」
「はは、そういうハリは隠れ酒豪だからな…」
「ライアが弱過ぎなだけです。自国ではこの程度普通ですから」
何気ない会話の中で上がったハリの言葉にラインアーサは心底驚いた。
ハリが〝自国〟という言葉を使い、それを話題に出すのは初めての事だったからだ。
スズランの事を抜きで考えるにしても、この愛する自国ではどんな小さないざこざも起こって欲しくないと願っている。ラインアーサは頬杖をつき、また小さく息を吐く。
「じゃあ今夜は息抜きに付き合えよ、ハリ。ちょうど週末だし」
「今夜、ですか…?」
「ん? もしかして都合が悪かったか? ハリに会わせたい人がいるんだけどな」
「少し用事がありまして。それはまたの機会に」
ハリ自身もまた日々の執務をこなし、抜かりのなさは誰よりも完璧だと言っていい程だ。
「なら俺一人で久々に羽でも伸ばしてくるかな」
「……伸ばし過ぎは駄目ですよ? 貴方は直ぐに気が大きくなるというか、そもそも酒に弱いですからね」
「はは、そういうハリは隠れ酒豪だからな…」
「ライアが弱過ぎなだけです。自国ではこの程度普通ですから」
何気ない会話の中で上がったハリの言葉にラインアーサは心底驚いた。
ハリが〝自国〟という言葉を使い、それを話題に出すのは初めての事だったからだ。