《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「……」
そこでラインアーサの存在に気付いたセィシェルと目が合う。
「げ! んだよ、来てたのか変態野郎! もう来ないとか言ってた癖に…」
相変わらずあからさまな敵意を向けてくる。
お馴染みの口の悪さだが、セィシェルの挑発に乗るのが一番の時間の無駄だ。ラインアーサは取り合わず、そのまま踵を返して出入り口に向かう。すると、意外にもスズランの声が追い掛けて来た。
「待って! ……ライア」
振り向かずに歩みを止めるラインアーサ。
「わたし、あの…っ」
スズランが何かを言おうとしているのが背中に伝わってくる。だが、それ以上の言葉がなかなか出て来ない。
「おい、また熱上がってんじゃあねーか! もうこんな奴いいから上で休めよ…」
セィシェルの言葉が気になり、肩越しにさりげなく振り向くとスズランが屈みこんでいた。とても具合悪そうに肩で呼吸をしている。
「うん、でも……わたし。ライアにちゃんと言わなきゃならない事が……あっ?」
最早身体が勝手に動いていた。
咄嗟に駆け寄って屈み込み、スズランの額に掌を翳す。直に触れなくてもわかる程の高熱。
「おい! 何すんだよあんた!!」
そこでラインアーサの存在に気付いたセィシェルと目が合う。
「げ! んだよ、来てたのか変態野郎! もう来ないとか言ってた癖に…」
相変わらずあからさまな敵意を向けてくる。
お馴染みの口の悪さだが、セィシェルの挑発に乗るのが一番の時間の無駄だ。ラインアーサは取り合わず、そのまま踵を返して出入り口に向かう。すると、意外にもスズランの声が追い掛けて来た。
「待って! ……ライア」
振り向かずに歩みを止めるラインアーサ。
「わたし、あの…っ」
スズランが何かを言おうとしているのが背中に伝わってくる。だが、それ以上の言葉がなかなか出て来ない。
「おい、また熱上がってんじゃあねーか! もうこんな奴いいから上で休めよ…」
セィシェルの言葉が気になり、肩越しにさりげなく振り向くとスズランが屈みこんでいた。とても具合悪そうに肩で呼吸をしている。
「うん、でも……わたし。ライアにちゃんと言わなきゃならない事が……あっ?」
最早身体が勝手に動いていた。
咄嗟に駆け寄って屈み込み、スズランの額に掌を翳す。直に触れなくてもわかる程の高熱。
「おい! 何すんだよあんた!!」