《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
そして逃げる様に出入り口へ向かい、一気に石段を駆け上ると酒場の外へと飛び出た。
ラインアーサの火照った頬を冷たい外気が容赦無く刺す。それでも赤面はなかなか治まらない。
「……うわ、かっこ悪」
ラインアーサは今自分がどんな顔をしているのか想像したくもなかった。おそらく耳まで赤く染まっているだろう。
スズランが初めてあの笑顔を〝ライア〟に向けてくれたのだ。それだけで尋常じゃない程の幸福感がラインアーサを包み込んだ。
「っ…やばい、もの凄く嬉しい…!」
自然と緩む口元を片手で隠す。
熱に浮かされていたのか、やけに素直なスズランが可愛かった。以前から礼が言えなかった事をずっと気に病んでいたのだろうか、今日は素直に口にした。
あのこちらまで嬉しくなる様な、花がほころぶ様な可憐な笑顔を伴って。それを思い出すとまた鼓動が煩くなる。スズランに会う度に想いが募ってゆく。もう誤魔化すことは不可能な程に。
「俺はどうしたら…っ」
どうすればスズランへの想いを諦める事が出来るのか……。最早自分ではどうにも出来ないのだと思い知る。ラインアーサは足元に視線を落とし、その場に佇んでいた。
「何が、どうしたら……なの?」
ラインアーサの火照った頬を冷たい外気が容赦無く刺す。それでも赤面はなかなか治まらない。
「……うわ、かっこ悪」
ラインアーサは今自分がどんな顔をしているのか想像したくもなかった。おそらく耳まで赤く染まっているだろう。
スズランが初めてあの笑顔を〝ライア〟に向けてくれたのだ。それだけで尋常じゃない程の幸福感がラインアーサを包み込んだ。
「っ…やばい、もの凄く嬉しい…!」
自然と緩む口元を片手で隠す。
熱に浮かされていたのか、やけに素直なスズランが可愛かった。以前から礼が言えなかった事をずっと気に病んでいたのだろうか、今日は素直に口にした。
あのこちらまで嬉しくなる様な、花がほころぶ様な可憐な笑顔を伴って。それを思い出すとまた鼓動が煩くなる。スズランに会う度に想いが募ってゆく。もう誤魔化すことは不可能な程に。
「俺はどうしたら…っ」
どうすればスズランへの想いを諦める事が出来るのか……。最早自分ではどうにも出来ないのだと思い知る。ラインアーサは足元に視線を落とし、その場に佇んでいた。
「何が、どうしたら……なの?」