《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「ええ、そうよ。それが何? もしかしてあの子たちに何か言われたから来たっていうの?」
「いや、違うんだ。……急にこんな事を尋ねたら失礼かも知れないが、もしかしてエリィはルゥアンダ帝国の出身じゃあないかって思って」
ラインアーサの問いかけに、エリィは黙ったまま鋭い視線を寄越す。その表情が何を意味するのか、読み取るのは難しかった。
行き交う人々で賑わう週末の大通り。歩みを止めているのはラインアーサとエリィだけだ。
「……」
「……違っていたなら謝るよ。突然変なこと訊いて悪かった。お詫びに今日は俺の奢りで…」
「……何故、分かったの? 貴方、何者?」
「!」
突如肯定され、思わず気持ちが逸る。
「俺は…っ」
一瞬。真の名を名乗り身分を明かすか迷ったが、その答えを出すより早くエリィの声があがった。
「場所を変えましょうよ。こんなところで話す内容じゃあないでしょう?」
「そうだな。じゃあ」
「あたし、いい所知ってるのよ。ついて来て」
そう言うとエリィは早足で歩き出した。この方向だとおそらく南の崖の方だ。崖の上の酒場へ向かっているのだろうか。
「待てよエリィ! 別の酒場へ向かってるのか?」
「いや、違うんだ。……急にこんな事を尋ねたら失礼かも知れないが、もしかしてエリィはルゥアンダ帝国の出身じゃあないかって思って」
ラインアーサの問いかけに、エリィは黙ったまま鋭い視線を寄越す。その表情が何を意味するのか、読み取るのは難しかった。
行き交う人々で賑わう週末の大通り。歩みを止めているのはラインアーサとエリィだけだ。
「……」
「……違っていたなら謝るよ。突然変なこと訊いて悪かった。お詫びに今日は俺の奢りで…」
「……何故、分かったの? 貴方、何者?」
「!」
突如肯定され、思わず気持ちが逸る。
「俺は…っ」
一瞬。真の名を名乗り身分を明かすか迷ったが、その答えを出すより早くエリィの声があがった。
「場所を変えましょうよ。こんなところで話す内容じゃあないでしょう?」
「そうだな。じゃあ」
「あたし、いい所知ってるのよ。ついて来て」
そう言うとエリィは早足で歩き出した。この方向だとおそらく南の崖の方だ。崖の上の酒場へ向かっているのだろうか。
「待てよエリィ! 別の酒場へ向かってるのか?」