《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
ラインアーサとエリィは互いを探り合う様に視線を交じわらせた。
「それは教えられないわ。……と言いたい所だけどライアにだったら特別、教えてあげてもいいわよ?」
エリィが意味深な眼差しを向けてくる。その意味が分からない訳ではない。
「……エリィ」
「なぁに?」
以前は情報を得る為ならば、どんな事でも構わず割り切って来た。例え気のない相手だろうが、一夜を共に明かして得た情報は数知れない。増してや今回はハリに関する事だ。
だが、どうしてもその気になれない───。
「エリィ、そろそろ中へ入らないか? 本格的に冷えてきた」
「ふふ。相変わらず釣れないのねぇ…。やぁね、冗談に決まってるじゃあないの。わたしもライアと同じよ、人捜しでこの国に滞在していたの。これ以上は話せないけどね」
「!!」
人捜しで他国に来ている。
それを知った瞬間、ラインアーサはイリアーナを捜索していた時の自身とエリィを重ねてしまった。しかも聞く限り、他言出来ない人捜しの様に感じられる。その事もまるでラインアーサ自身の時と似た様な状況ではないか。
イリアーナの捜索も他言出来ず、立場も明かせない為とても難航したのだ。
「それは教えられないわ。……と言いたい所だけどライアにだったら特別、教えてあげてもいいわよ?」
エリィが意味深な眼差しを向けてくる。その意味が分からない訳ではない。
「……エリィ」
「なぁに?」
以前は情報を得る為ならば、どんな事でも構わず割り切って来た。例え気のない相手だろうが、一夜を共に明かして得た情報は数知れない。増してや今回はハリに関する事だ。
だが、どうしてもその気になれない───。
「エリィ、そろそろ中へ入らないか? 本格的に冷えてきた」
「ふふ。相変わらず釣れないのねぇ…。やぁね、冗談に決まってるじゃあないの。わたしもライアと同じよ、人捜しでこの国に滞在していたの。これ以上は話せないけどね」
「!!」
人捜しで他国に来ている。
それを知った瞬間、ラインアーサはイリアーナを捜索していた時の自身とエリィを重ねてしまった。しかも聞く限り、他言出来ない人捜しの様に感じられる。その事もまるでラインアーサ自身の時と似た様な状況ではないか。
イリアーナの捜索も他言出来ず、立場も明かせない為とても難航したのだ。