《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「あ!! そういえば。この国の王子と王女も似た様な髪の色だったわよね…! あたし、ちょうどあのお祭り騒ぎの前日からこの国に滞在してるのよ」
「お祭り騒ぎ…。ああ…」
お祭り騒ぎとは、ラインアーサとイリアーナが帰国した際の祝祭の事だ。まあ、文字通り祭りではあったが。
エリィはおもむろに立ち上がるとテーブルに手を着き身を乗り出してきた。そして、穴が空いてしまうのではと思う程にじっくりと顔を観察される。思いのほか互いの顔と顔とが近づきラインアーサは息を呑む。
「ふぅん」
「なんだよ…」
「……何でもないわ。ライアは何故ルゥアンダ帝国に興味があるの? 潜入でもするつもり? 」
エリィは何事もなかった様に椅子に座り直すとまた話を聞く体制に戻った。
一瞬。身元が割れたのかと思ったが何も聞いて来ないのを見るとそうでもないのか。ラインアーサは己の本名と身分を切り出す機会をすっかり失い、この話の流れから余計に言い出しにくくなっていた。
「いや。さっきも少し話に出したルゥアンダ帝国出身と思われる知り合いについてなんだが…。彼について色々調べたい事があるんだ」
「思われる? それってどういう事なの?」
「お祭り騒ぎ…。ああ…」
お祭り騒ぎとは、ラインアーサとイリアーナが帰国した際の祝祭の事だ。まあ、文字通り祭りではあったが。
エリィはおもむろに立ち上がるとテーブルに手を着き身を乗り出してきた。そして、穴が空いてしまうのではと思う程にじっくりと顔を観察される。思いのほか互いの顔と顔とが近づきラインアーサは息を呑む。
「ふぅん」
「なんだよ…」
「……何でもないわ。ライアは何故ルゥアンダ帝国に興味があるの? 潜入でもするつもり? 」
エリィは何事もなかった様に椅子に座り直すとまた話を聞く体制に戻った。
一瞬。身元が割れたのかと思ったが何も聞いて来ないのを見るとそうでもないのか。ラインアーサは己の本名と身分を切り出す機会をすっかり失い、この話の流れから余計に言い出しにくくなっていた。
「いや。さっきも少し話に出したルゥアンダ帝国出身と思われる知り合いについてなんだが…。彼について色々調べたい事があるんだ」
「思われる? それってどういう事なの?」