《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「───そうね、この国。とても治安がいいし国民の気性も穏やかで明るくて活気もあるわ…。住みやすいし街も綺麗、流石は移民から一番人気の国ね。内乱後よく此処まで復興出来たものだわ。この国の王様はよっぽどの腕利きなのかしらね? ……どこぞの皇帝らとは大違いよ」
最後の方の言葉は小声な上、強く吹く風に掻き消されよく聞き取れなかったが身内を良く言われるのは悪い気がしなかった。
「ああ、国王は民が安心して生活出来る様にと尽くしてくれているからな」
「……でも、ひとつ言わせてもらうと平和過ぎるのよ。あんな内乱があってからまだ十一年しか経っていないのに…。平和呆けもいい所よ?」
以前も軽くだがスズランに指摘されたことがあった。しかも今回は的確かつ痛い所を突かれた。
だが、ラインアーサもこのまま黙っている訳にはいかない。
「っ…しかし、民の平和を願いそれを叶える。それが王族の役目だろ!? 国王陛下は間違ってなんかいない!」
エリィの厳しい意見につい熱くなり声を荒げるラインアーサ。対しエリィは冷静に言葉を返してくる。
「そうね、間違ってなんかいないわ。でも、だからよ。だからこそこの国は魔像術が発展していない」
最後の方の言葉は小声な上、強く吹く風に掻き消されよく聞き取れなかったが身内を良く言われるのは悪い気がしなかった。
「ああ、国王は民が安心して生活出来る様にと尽くしてくれているからな」
「……でも、ひとつ言わせてもらうと平和過ぎるのよ。あんな内乱があってからまだ十一年しか経っていないのに…。平和呆けもいい所よ?」
以前も軽くだがスズランに指摘されたことがあった。しかも今回は的確かつ痛い所を突かれた。
だが、ラインアーサもこのまま黙っている訳にはいかない。
「っ…しかし、民の平和を願いそれを叶える。それが王族の役目だろ!? 国王陛下は間違ってなんかいない!」
エリィの厳しい意見につい熱くなり声を荒げるラインアーサ。対しエリィは冷静に言葉を返してくる。
「そうね、間違ってなんかいないわ。でも、だからよ。だからこそこの国は魔像術が発展していない」