《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
エリィは席を立つと街の夜景が一番美しく見える場所へと移動した。ラインアーサもそれを追い隣に立ち並ぶ。エリィは柵から少し身を乗り出し話を続けた。
「……内乱後のルゥアンダ帝国の内情は本当に最悪よ。この国みたいに一人で気軽に外なんか出歩けない、現在も国民は常に身の傍に危険を感じながら息を潜めて生活してる。国を正す統治者が不在なんだもの。民の心が荒んでゆくのも当たり前だわ……その癖、貴族達は国民を放ったらかしのまま派閥争いばかり…」
外からは知り得ないルゥアンダ帝国内の現状を聞かされ、ラインアーサは驚きを隠せないでいた。だがそれ以上に、エリィの悲壮感が漂う横顔を見て心苦しくなる。
「エリィ…」
「それに、鎖国なんて言ってるけどそんなの形だけよ。実際は列車の停車場と港が全く機能してないだけで、空間移動の魔像術さえ使えれば誰でも簡単に入国出来るわ」
「空間移動…!?」
確かにその様な手段が存在する事位は聞いた事がある。必要最低限ではあるが様々な高等術を身につけてきたラインアーサでさえ、シュサイラスア国内にその様な煌像術を扱える者がいるとは一度も耳にした事が無かった。それ故、使い方も知り得ない。
「……内乱後のルゥアンダ帝国の内情は本当に最悪よ。この国みたいに一人で気軽に外なんか出歩けない、現在も国民は常に身の傍に危険を感じながら息を潜めて生活してる。国を正す統治者が不在なんだもの。民の心が荒んでゆくのも当たり前だわ……その癖、貴族達は国民を放ったらかしのまま派閥争いばかり…」
外からは知り得ないルゥアンダ帝国内の現状を聞かされ、ラインアーサは驚きを隠せないでいた。だがそれ以上に、エリィの悲壮感が漂う横顔を見て心苦しくなる。
「エリィ…」
「それに、鎖国なんて言ってるけどそんなの形だけよ。実際は列車の停車場と港が全く機能してないだけで、空間移動の魔像術さえ使えれば誰でも簡単に入国出来るわ」
「空間移動…!?」
確かにその様な手段が存在する事位は聞いた事がある。必要最低限ではあるが様々な高等術を身につけてきたラインアーサでさえ、シュサイラスア国内にその様な煌像術を扱える者がいるとは一度も耳にした事が無かった。それ故、使い方も知り得ない。