《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
最早この話の流れからして、恐らくエリィはラインアーサの正体に気付いているだろう。だが他言しないと約束した以上、ライオネルを頼ることは避けた方が良い。ならば個人的にエリィの人捜しに協力し、ルゥアンダ帝国の今後について相談に乗る事位なら出来る筈だ。
「はあ。何もかも放り出して、この国の住民になれたらどんなに幸せかしら…。この数日間、本当に毎日が楽しかったわ。でも、それももう終わりなの」
エリィが楓樹の都の夜景を眺めながら独り言の様に呟く。濃紺の髪が風に攫われる姿は、より儚さに拍車をかける。
「どうして? もう少しだけでもこの国に滞在する事は出来ないのか? 人捜しだって俺も手伝うし、何だって相談に乗る!」
「ライア。貴方って結構残酷だわ…! あたし、貴方の事結構本気だったのよ?」
───エリィの煌めく二つの星がラインアーサを捉えた。なんとも言えないその表情に応えたい気持はあるのだが……。
「エリィ、俺は…」
「言わないでよ…! 他国の、それも何の身分も持たない女にこんな事言われても困るわよね。それに貴方はあの子が…。いいえ、帝国からだってとっくに呼び戻しがかかってるの。だから今夜にでもこの国を出るわ」
「はあ。何もかも放り出して、この国の住民になれたらどんなに幸せかしら…。この数日間、本当に毎日が楽しかったわ。でも、それももう終わりなの」
エリィが楓樹の都の夜景を眺めながら独り言の様に呟く。濃紺の髪が風に攫われる姿は、より儚さに拍車をかける。
「どうして? もう少しだけでもこの国に滞在する事は出来ないのか? 人捜しだって俺も手伝うし、何だって相談に乗る!」
「ライア。貴方って結構残酷だわ…! あたし、貴方の事結構本気だったのよ?」
───エリィの煌めく二つの星がラインアーサを捉えた。なんとも言えないその表情に応えたい気持はあるのだが……。
「エリィ、俺は…」
「言わないでよ…! 他国の、それも何の身分も持たない女にこんな事言われても困るわよね。それに貴方はあの子が…。いいえ、帝国からだってとっくに呼び戻しがかかってるの。だから今夜にでもこの国を出るわ」