《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「今夜って…。そんなに急なのか? だったらもっと早く相談に乗っていればよかったな」
「貴方、本当に何処までお人好しなの? そんなだといつか痛い目に合うわよ? ……でもよかった。最後の日に貴方に会えて」
エリィが困った様な表情で微笑むので、ラインアーサはそれを晴らす様に笑顔を見せた。
「永遠の別れじゃあないんだ。いつかまた必ず会えるよ。あ、俺が空間移動の術を習得してエリィに会いに行こうか?」
「な、何の冗談よ!! 魔像術はそんな簡単に覚えられる訳じゃあないのよ? あたしだって長年沢山の知識と経験を積んで、やっと使いこなせる様になったんだから…!」
エリィはまたラインアーサから目を逸らし、くるりと背を向けてしまった。
空間移動の術に関しては本腰を入れて調べる必要があると感じていた。王宮に戻ったらまずジュストベルを尋ねよう。あらゆる術に明るい彼ならば、何か知っている筈だ。
気が付けば結構な時間、この戸外席に長居していた。これ以上冷たい風に当たっては、身体の芯から冷え切ってしまう。
「エリィ…。そろそろ戻らないか? 遅いし宿まで送るよ」
「先に帰って頂戴……」
エリィが背を向けたまま呟く。
「貴方、本当に何処までお人好しなの? そんなだといつか痛い目に合うわよ? ……でもよかった。最後の日に貴方に会えて」
エリィが困った様な表情で微笑むので、ラインアーサはそれを晴らす様に笑顔を見せた。
「永遠の別れじゃあないんだ。いつかまた必ず会えるよ。あ、俺が空間移動の術を習得してエリィに会いに行こうか?」
「な、何の冗談よ!! 魔像術はそんな簡単に覚えられる訳じゃあないのよ? あたしだって長年沢山の知識と経験を積んで、やっと使いこなせる様になったんだから…!」
エリィはまたラインアーサから目を逸らし、くるりと背を向けてしまった。
空間移動の術に関しては本腰を入れて調べる必要があると感じていた。王宮に戻ったらまずジュストベルを尋ねよう。あらゆる術に明るい彼ならば、何か知っている筈だ。
気が付けば結構な時間、この戸外席に長居していた。これ以上冷たい風に当たっては、身体の芯から冷え切ってしまう。
「エリィ…。そろそろ戻らないか? 遅いし宿まで送るよ」
「先に帰って頂戴……」
エリィが背を向けたまま呟く。