《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
応接用の長椅子に座り、ジュストベルが淹れてくれた蜂蜜入りのお茶で冷えた指先を温める。
「して、どうなされましたか? 貴方様がわざわざ此処へ訪れるなど…」
「ジュストベル! 単刀直入に聞くけど、ジュストベルは空間移動の術って聞いた事ある?」
逸る気持ちを抑えきれず率直な質問を投げ掛けると、ジュストベルはその瞳を見開いた。
「……何処でその言葉を知ったのです?」
「以前からそういった術が存在すること位なら知っていたよ。で、ジュストベルは使えるの?」
「それは古の術ですぞ? わたくしには、到底扱うことはできませぬ」
「古の術…?」
ラインアーサはその言葉に眉を寄せ顔を顰めた。古の術と言う事は今は既に失われている、という事なのか。
「左様でございます。古の言葉通り現在は使われて居りません故、わたくしは勿論…。かなりの手練れであろうと使える者などおりませぬでしょうな……」
「……でも。もし、ルゥアンダ帝国の民がそれを使えるとしたら?」
ラインアーサは、確認をする様にジュストベルを見据え望ましい返答を期待する。しかしジュストベルはゆっくりと首を左右に振ると大きく息を吐いた。
「して、どうなされましたか? 貴方様がわざわざ此処へ訪れるなど…」
「ジュストベル! 単刀直入に聞くけど、ジュストベルは空間移動の術って聞いた事ある?」
逸る気持ちを抑えきれず率直な質問を投げ掛けると、ジュストベルはその瞳を見開いた。
「……何処でその言葉を知ったのです?」
「以前からそういった術が存在すること位なら知っていたよ。で、ジュストベルは使えるの?」
「それは古の術ですぞ? わたくしには、到底扱うことはできませぬ」
「古の術…?」
ラインアーサはその言葉に眉を寄せ顔を顰めた。古の術と言う事は今は既に失われている、という事なのか。
「左様でございます。古の言葉通り現在は使われて居りません故、わたくしは勿論…。かなりの手練れであろうと使える者などおりませぬでしょうな……」
「……でも。もし、ルゥアンダ帝国の民がそれを使えるとしたら?」
ラインアーサは、確認をする様にジュストベルを見据え望ましい返答を期待する。しかしジュストベルはゆっくりと首を左右に振ると大きく息を吐いた。