《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「……数百年前、我々の高祖にあたるリノ族たちが現世から逃れこの箱庭の様な世界を創ったのはご存知ですね?」
「それは流石に知ってる」
ジュストベルは片眉を吊りあげて、小さく息を吐く。
「現世に於いての我々リノ族の役目は自然とヒト族を寄り合わせ、結び、調和を望む事でした。それ故自然を愛し世界の秩序を保っていたのです。ですが…」
「うん、ヒト族による自然破壊とリノ族狩り…。だろ? たくさんの被害と犠牲が出たって」
ラインアーサの表情は無意識の内に険しくなる。幼い頃、初めてその事を教わった時はとても恐ろしくて数日間一人で眠れなかった程だ。未だ理解する事は出来ない。
「……致し方なかったのでしょう。ヒト族とリノ族とでは、人口の絶対数が違いすぎたのです。そしてリノ族は争い事が不好きで御座います。現状を考えますと、先人の判断は間違っていなかったかと」
「……そうだよな」
ヒト族から逃れなければ恐らくリノ族は絶滅していただろう。
ラインアーサは空になったカップにお茶を注ぐと、蜂蜜をたっぷりと入れてかき混ぜた。甘い香りを吸い込み気持ちを落ち着かせる。
「リノ族本来の属性は光。その他の属性は全て其処から派生したものなのです」
「それは流石に知ってる」
ジュストベルは片眉を吊りあげて、小さく息を吐く。
「現世に於いての我々リノ族の役目は自然とヒト族を寄り合わせ、結び、調和を望む事でした。それ故自然を愛し世界の秩序を保っていたのです。ですが…」
「うん、ヒト族による自然破壊とリノ族狩り…。だろ? たくさんの被害と犠牲が出たって」
ラインアーサの表情は無意識の内に険しくなる。幼い頃、初めてその事を教わった時はとても恐ろしくて数日間一人で眠れなかった程だ。未だ理解する事は出来ない。
「……致し方なかったのでしょう。ヒト族とリノ族とでは、人口の絶対数が違いすぎたのです。そしてリノ族は争い事が不好きで御座います。現状を考えますと、先人の判断は間違っていなかったかと」
「……そうだよな」
ヒト族から逃れなければ恐らくリノ族は絶滅していただろう。
ラインアーサは空になったカップにお茶を注ぐと、蜂蜜をたっぷりと入れてかき混ぜた。甘い香りを吸い込み気持ちを落ち着かせる。
「リノ族本来の属性は光。その他の属性は全て其処から派生したものなのです」