《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「俺たち風の属性も、だよな?」

「光と闇が表裏一体。これは理解できますね? この時点ではどちらの力も同じものなのです」

「もちろん理解してるよ。でも、じゃあ何で今は違うものになってしまったんだよ? その他の属性もどうやって発生したんだ?」

「それも以前お教えした筈なのですが……」

 ジュストベルも新しくお茶入れ直し、一息ついた。

「えーっと、元々は自然界にある力を借りているんだろ? 先人のリノ族達が発展させたのか?」

「左様です。リノ族の血を一等色濃く受け継いで居るのが(リノ)の属性、煌都パルフェの人種。

同時に北の大地に君臨している(ウンブラ)の属性、ルゥアンダ帝国の人種。

闇に明かりを灯すために派生した火焔(フォヤン)の属性、アザロア国家の人種。

焔に打ち勝つ水と氷(アクウァ・イェロ)の属性、マルティーン帝国の人種。

一方、我々風の属性は今申し上げた属性とは違う派生の仕方をしました」

「…つ、続けてくれ」

「……光が照らした大地から芽吹いた大地の息吹(テレノ・アリェント)の属性、オゥ鉱脈都市の人種。

その大地を裂く様に落ちてきた雷花の神気(トニトフロース・ディオス)が、小フリュイ公国の人種。

そして大地を揺るがす雷の揺れから生じた 風の息吹(アイレ・アリェント)の属性が、我々シュサイラスア大国の人種なのです」
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