《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「ジュストベル…。それって俺の事褒めてんの? けなしてるの?」

「……勿論お褒めしております。ですから今後も無理は禁物ですぞ」

 ラインアーサは少しはにかみながら頷いた。

「そうか。自分の血筋を学ぶのも意外と大切なんだな」

「左様でございます。そんな貴方様が魔像術(ディアロス)など……決して関わってはなりません」

「何故?」

「それは初めに申し上げた通り、煌像術(ルキュアス)は他人の為に。魔像術(ディアロス)は己の為だけにその力を行使するものだからでございます。特に他人を傷つけるなどの魔像術(ディアロス)を使いますと、その力はいずれ自身をも滅ぼしましょう」

 それを聞くなり、ラインアーサはエリィの事を思い出した。他人を傷つける魔像術(ディアロス)にもっと恐ろしい魔像術(ディアロス)……と言っていた。どうも嫌な感じがする。

「じゃあ、魔像術(ディアロス)ではない移動術はないのか? さっきジュストベルは、古の術って言っていたよな」

「全く、貴方様もしつこいですな。それに関しては後日、御自身でお調べください。さあ、本日の授業は此処までです。もう遅いですから自室に戻られてお休みください」

「え? ああ、もうそんなに時間が経ってしまっていたのか…! 悪かったな、遅い時間に訪問したのにこんな長居してしまって」
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