《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「……ちょうど、その頃ですね。私がライアと出会ったのも」
「あの時俺は十二だったから、もう十一年経ってるんだな。でも、やっとだ。やっと願いが叶う」
ラインアーサは瑠璃色の瞳を細め、屈託のない笑顔をハリに見せた。
誰に対しても明るく心優しい性格に、人好きのする整った容姿は周囲を男女関係なく惹きつける。そう評されることの多いラインアーサから受ける印象は、ハリと真逆と言っても良いかもしれない。焦がし砂糖を垂らした様な色合いで、少し癖のあるその髪を後ろで小さく結わえている。
「陛下の喜ぶ顔がたのしみですね」
「そうだな! 父上の事だから大騒ぎして国を挙げてのお祭り騒ぎになるかもな」
「確かに……陛下ならあり得ますね。しかし、今回の旅は流石に草臥れました」
そう言うとハリはラインアーサの隣に座りお茶の用意を始めた。ラインアーサは冗談のつもりだったが、父の性格をあっさり肯定されてしまい苦笑する。
「はは。まあでもおかげで無事に大成を遂げられそうだ。ハリ、お前には感謝してもし切れないよ。ありがとう」
「あの時俺は十二だったから、もう十一年経ってるんだな。でも、やっとだ。やっと願いが叶う」
ラインアーサは瑠璃色の瞳を細め、屈託のない笑顔をハリに見せた。
誰に対しても明るく心優しい性格に、人好きのする整った容姿は周囲を男女関係なく惹きつける。そう評されることの多いラインアーサから受ける印象は、ハリと真逆と言っても良いかもしれない。焦がし砂糖を垂らした様な色合いで、少し癖のあるその髪を後ろで小さく結わえている。
「陛下の喜ぶ顔がたのしみですね」
「そうだな! 父上の事だから大騒ぎして国を挙げてのお祭り騒ぎになるかもな」
「確かに……陛下ならあり得ますね。しかし、今回の旅は流石に草臥れました」
そう言うとハリはラインアーサの隣に座りお茶の用意を始めた。ラインアーサは冗談のつもりだったが、父の性格をあっさり肯定されてしまい苦笑する。
「はは。まあでもおかげで無事に大成を遂げられそうだ。ハリ、お前には感謝してもし切れないよ。ありがとう」