《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
今回の事件はおろか、当時イリアーナを攫った実行犯ですら未だに特定できていない。
空間移動の魔像術を使えるのだから、やはり今回もルゥアンダ帝国の企みなのだろうか。
「ハリ。ノルテの事件について、他に情報はないのか? 犯人側からの要求とか」
「───ああ。困った事に今の所、何もないのだよ」
不意に背後から大きなため息が聞こえ、振り向くとすぐ後ろにライオネルが立っていた。
「父上っ!? いつからそこに?」
「たった今ノルテから戻ったところだよ。皆お揃いで話し合っていたのかい? 私も参加させてもらおうかな」
「陛下! 申し訳ございません、我々警備隊が居ながらしてこの様な事件を起こしてしまい……本当に弁解の余地もありません!!」
ジュリアンは即座にライオネルの前に跪き、忠誠の姿勢をとる。
「ジュリ君、顔を上げてくれ。私こそ現地に居たのにも関わらず、事件を未然に防ぐ事が出来なかった…。国王として恥ずべき失態だよ」
そう言いながら苦笑するライオネルの表情には、やはりいつもよりも覇気がない。
聞きたいことが山程あった筈なのだが、その疲れた顔を見ると追及するのを躊躇してしまう。
空間移動の魔像術を使えるのだから、やはり今回もルゥアンダ帝国の企みなのだろうか。
「ハリ。ノルテの事件について、他に情報はないのか? 犯人側からの要求とか」
「───ああ。困った事に今の所、何もないのだよ」
不意に背後から大きなため息が聞こえ、振り向くとすぐ後ろにライオネルが立っていた。
「父上っ!? いつからそこに?」
「たった今ノルテから戻ったところだよ。皆お揃いで話し合っていたのかい? 私も参加させてもらおうかな」
「陛下! 申し訳ございません、我々警備隊が居ながらしてこの様な事件を起こしてしまい……本当に弁解の余地もありません!!」
ジュリアンは即座にライオネルの前に跪き、忠誠の姿勢をとる。
「ジュリ君、顔を上げてくれ。私こそ現地に居たのにも関わらず、事件を未然に防ぐ事が出来なかった…。国王として恥ずべき失態だよ」
そう言いながら苦笑するライオネルの表情には、やはりいつもよりも覇気がない。
聞きたいことが山程あった筈なのだが、その疲れた顔を見ると追及するのを躊躇してしまう。