《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「父上…! もっと遅くなるかと思ってたのに」
王宮のある楓樹の都とノルテ地区は結構な距離がある、ライオネルの帰還は予測よりも格段に早い様に感じた。
「……ああ。馬車を飛ばしてもらい、急いで帰って来たからね。イリア? そんなに不安そうな顔をしなくても私はもうお前を何処にもやらないよ……さあ、今日はもうお休み」
「はい、お父様……」
「父上! 俺はまだ姉上の事が心配で…っ」
「アーサも……心配ないよ。この王宮内では魔像術は使えない。強い術式が組んであるからね」
「!」
ライオネルが今しがた口にした言葉を、ラインアーサは聞き逃さなかった。
「今、なんて? ……魔像術は使えないって」
「アーサ、話の続きは私の部屋で。そろそろイリアを休ませてやらなくては」
「分かった…」
ライオネルはイリアーナを気遣い部屋の扉へと向かう。ラインアーサも後を追うが途中リーナへ声を掛け、イリアーナを一人にしない様傍についていて欲しいと頼み込んだ。
「ではイリア。何も心配せずゆっくり休むのだよ?」
ライオネルは安心させる様に笑顔を向けながらイリアーナの部屋から退室し、ラインアーサたちもその後に続いた。
王宮のある楓樹の都とノルテ地区は結構な距離がある、ライオネルの帰還は予測よりも格段に早い様に感じた。
「……ああ。馬車を飛ばしてもらい、急いで帰って来たからね。イリア? そんなに不安そうな顔をしなくても私はもうお前を何処にもやらないよ……さあ、今日はもうお休み」
「はい、お父様……」
「父上! 俺はまだ姉上の事が心配で…っ」
「アーサも……心配ないよ。この王宮内では魔像術は使えない。強い術式が組んであるからね」
「!」
ライオネルが今しがた口にした言葉を、ラインアーサは聞き逃さなかった。
「今、なんて? ……魔像術は使えないって」
「アーサ、話の続きは私の部屋で。そろそろイリアを休ませてやらなくては」
「分かった…」
ライオネルはイリアーナを気遣い部屋の扉へと向かう。ラインアーサも後を追うが途中リーナへ声を掛け、イリアーナを一人にしない様傍についていて欲しいと頼み込んだ。
「ではイリア。何も心配せずゆっくり休むのだよ?」
ライオネルは安心させる様に笑顔を向けながらイリアーナの部屋から退室し、ラインアーサたちもその後に続いた。