《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
ライオネルの部屋へと場所を移し今回の事件の詳細を聞いたが、ラインアーサは全く納得出来ずにいた。
「犯人の狙いが分からない! 十一年前のあの時みたいにまた内乱を起こすつもりなのか?」
「いや、今の段階では判断がつかない。今回攫われたのは一般の民なのだよ。前回はイリアも含め皆、王族が人質として狙われたのだから」
「じゃあ一体何が狙いなんだ? しかも元々はシュサイラスアの住民じゃあなく、避難してきてノルテでやっと幸せに暮らしていた家族じゃあないか!」
攫われたのは十五歳になる村娘で、内乱後に他国から疎開してきた一家の者だった。父親との畑仕事の最中、突然に起きた出来事だった様だ。
「アーサ殿下、落ち着いてください」
ラインアーサは思わず立ち上がると、そのまま落ち着かずに部屋の中を歩き回りコルトに宥められた。
「……とにかく明日からは街中にも警戒する様にと触れを流す。勿論、警備体制も一度見直す必要がある。コルト、早速だが手続きをお願いするよ」
「はっ、承知いたしました」
「父上! 俺も手伝うよ」
「陛下。勿論の事ですが、自分も微力ながら手伝いをさせていただきます! どうかこのジュリアンにもご指示を…!!」
「犯人の狙いが分からない! 十一年前のあの時みたいにまた内乱を起こすつもりなのか?」
「いや、今の段階では判断がつかない。今回攫われたのは一般の民なのだよ。前回はイリアも含め皆、王族が人質として狙われたのだから」
「じゃあ一体何が狙いなんだ? しかも元々はシュサイラスアの住民じゃあなく、避難してきてノルテでやっと幸せに暮らしていた家族じゃあないか!」
攫われたのは十五歳になる村娘で、内乱後に他国から疎開してきた一家の者だった。父親との畑仕事の最中、突然に起きた出来事だった様だ。
「アーサ殿下、落ち着いてください」
ラインアーサは思わず立ち上がると、そのまま落ち着かずに部屋の中を歩き回りコルトに宥められた。
「……とにかく明日からは街中にも警戒する様にと触れを流す。勿論、警備体制も一度見直す必要がある。コルト、早速だが手続きをお願いするよ」
「はっ、承知いたしました」
「父上! 俺も手伝うよ」
「陛下。勿論の事ですが、自分も微力ながら手伝いをさせていただきます! どうかこのジュリアンにもご指示を…!!」