《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「ええ…。そう言うと思っていました。ですので、私もご一緒します」

「ジュリ君、ハリ君、どうか頼むよ。きっと止めても無駄なのだろう? アーサ……」

「父上、俺は家族が引き離されてばらばらになるのをこれ以上見ていられない…! 自分自身の力の無さは分かってる。けど、何もしないでいるのは嫌なんだ」

 ラインアーサはライオネルとしっかり目を合わせた。ライオネルが深く息を落とす。

「アーサ。お前が無茶をしたら何の意味も無いのだからね? イリアが戻り、やっと家族が揃ったばかりなのだから、少しは父様を安心させて欲しいものだよ」

「無理はしないよ。それと父上。……さっきこの王宮内では魔像術(ディアロス)が使えない様にしてあるって言った?」

「そうだよ。私はずっと後悔をしていたのだ。初めからこの術を……この結界を施しておけばあの時イリアは攫われずに済んだのだから。それに今は王国全土にこの結界を施したい所だが、流石に私一人では難しいからね」

「結界…。そうか! 父上、じゃあやっぱりあの空間に裂け目を作り出すあれは魔像術(ディアロス)って事だよな? そしてそれはルゥアンダの空間移動の魔像術(ディアロス)で間違いない?」

「! ……アーサ。何故その術の名を?」
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