《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
その為にもラインアーサは魔像術とは別の移動術を身につけたいと思案していた。それが古の術ならば古代リノ族の能力とも何か関係があると踏んだのだ。
しかしどちらの情報も少なく何も掴めない。それどころか古代リノ族の話になると、イリアーナもライオネルも様子が一変する。明らかな態度の変化を訝しむな、と言うほうが無理であろう。
「古の術にも移動の術があるだろ? その術を知りたいんだ。俺にも扱えるなら何をしてでも覚えたい」
「……アーサ。確かに魔像術とは別に移動の術は存在する。しかし、どんなに術を磨いてもお前には扱えないのだよ」
ライオネルはラインアーサから視線を外すと大きく息をつく。
「どうして? そんなの試してみないとわからないだろっ…」
「どうしても、だ。さあ、もう部屋に戻りなさい。明日からは忙しくなるからね。私ももう休むよ」
この話はもう終いだと言いたげに、ライオネルはふいとラインアーサに背を向ける。
「父上っ! まだ話の途中だ。時間がある時で構わないからその移動術について教えてくれよ」
「……」
「父上!!」
必死に食い下がってみるも、ライオネルは無言のまま奥の続き間へと去って行ってしまった。
しかしどちらの情報も少なく何も掴めない。それどころか古代リノ族の話になると、イリアーナもライオネルも様子が一変する。明らかな態度の変化を訝しむな、と言うほうが無理であろう。
「古の術にも移動の術があるだろ? その術を知りたいんだ。俺にも扱えるなら何をしてでも覚えたい」
「……アーサ。確かに魔像術とは別に移動の術は存在する。しかし、どんなに術を磨いてもお前には扱えないのだよ」
ライオネルはラインアーサから視線を外すと大きく息をつく。
「どうして? そんなの試してみないとわからないだろっ…」
「どうしても、だ。さあ、もう部屋に戻りなさい。明日からは忙しくなるからね。私ももう休むよ」
この話はもう終いだと言いたげに、ライオネルはふいとラインアーサに背を向ける。
「父上っ! まだ話の途中だ。時間がある時で構わないからその移動術について教えてくれよ」
「……」
「父上!!」
必死に食い下がってみるも、ライオネルは無言のまま奥の続き間へと去って行ってしまった。