《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「っ…父上、一体何を隠してるんだよ。母様の事だって…」
ラインアーサは仕方なく自身の部屋へと戻り、唯ひたすら考えを巡らせた。
空間移動の魔像術を使うにはその場所や人の気配を感じることが大切だとエリィは教えてくれた。
ラインアーサも実際、イリアーナを探す時には似た様な事をしていた。気配を感じ取り、その土地や地域にいるか否かの大まかな目星をつけていたのだ。しかし、見知った人物の気配でさえ明確には感じ取る事が出来なかった。
「気配を感じる、か……」
これがなかなか難しい。
───ラインアーサは何気なくスズランを思い浮かべた。
「あいつ……今、何してんだろ…って俺も相当諦めが悪いな。明日からは忙しくなるし、もう考えるのはやめよう」
そう決め込みラインアーサはベッドへと潜り込む。しかし瞳を閉じてみるが一向に睡魔がやってこない。それどころかスズランの顔が瞼の裏にちらつき始める。まるで、すぐ近くにいるかの様に感じてしまう程とても明確で鮮明な気配だ。
スズランの居る酒場と王宮とは距離的にも目と鼻の先程しか離れていない。その為かより近くに感じるのかもしれない……。などと無理矢理自身を納得させる。
ラインアーサは仕方なく自身の部屋へと戻り、唯ひたすら考えを巡らせた。
空間移動の魔像術を使うにはその場所や人の気配を感じることが大切だとエリィは教えてくれた。
ラインアーサも実際、イリアーナを探す時には似た様な事をしていた。気配を感じ取り、その土地や地域にいるか否かの大まかな目星をつけていたのだ。しかし、見知った人物の気配でさえ明確には感じ取る事が出来なかった。
「気配を感じる、か……」
これがなかなか難しい。
───ラインアーサは何気なくスズランを思い浮かべた。
「あいつ……今、何してんだろ…って俺も相当諦めが悪いな。明日からは忙しくなるし、もう考えるのはやめよう」
そう決め込みラインアーサはベッドへと潜り込む。しかし瞳を閉じてみるが一向に睡魔がやってこない。それどころかスズランの顔が瞼の裏にちらつき始める。まるで、すぐ近くにいるかの様に感じてしまう程とても明確で鮮明な気配だ。
スズランの居る酒場と王宮とは距離的にも目と鼻の先程しか離れていない。その為かより近くに感じるのかもしれない……。などと無理矢理自身を納得させる。