《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
しかも、かなり遅い時間にも関わらずスズランはまだ起きている様子だ。
試しにイリアーナの気配も辿ってみる。既に眠っているらしく、穏やかな気振りしか感じられない。再びスズランに意識を戻し探ると、やはり明らかに起きている気配が感じられラインアーサは思わず身体を跳ね起こした。
「な、なんだかおかしな気分だ…」
これでは、まるでスズランの私生活を覗き見してしまっている様な感覚に苛まれる。
たしか昨日、書庫で調べた時にちらりと項目を読んだ。その場に居ながら遠く離れた場所を見通せる、透視術という古の術に似ている。
「違う! 俺は透視がしたいんじゃあないって」
ラインアーサは思い切り頭を左右に振って意識を他のことへと分散させた。無理矢理読書をしてみたり、窓を開け放って外の空気を吸い込み、なるべくスズランの事を考えないよう努めた。
「っ…何だよ、あいつ。早く寝ればいいのに」
そうしているうちにラインアーサ自身にも漸く眠気が降りてきて、いつの間にかベッドの上で掛け布も被らずにふて寝してしまったのだった。
そうして迎えた朝。ラインアーサはこの上なく寝覚めが悪かった。
試しにイリアーナの気配も辿ってみる。既に眠っているらしく、穏やかな気振りしか感じられない。再びスズランに意識を戻し探ると、やはり明らかに起きている気配が感じられラインアーサは思わず身体を跳ね起こした。
「な、なんだかおかしな気分だ…」
これでは、まるでスズランの私生活を覗き見してしまっている様な感覚に苛まれる。
たしか昨日、書庫で調べた時にちらりと項目を読んだ。その場に居ながら遠く離れた場所を見通せる、透視術という古の術に似ている。
「違う! 俺は透視がしたいんじゃあないって」
ラインアーサは思い切り頭を左右に振って意識を他のことへと分散させた。無理矢理読書をしてみたり、窓を開け放って外の空気を吸い込み、なるべくスズランの事を考えないよう努めた。
「っ…何だよ、あいつ。早く寝ればいいのに」
そうしているうちにラインアーサ自身にも漸く眠気が降りてきて、いつの間にかベッドの上で掛け布も被らずにふて寝してしまったのだった。
そうして迎えた朝。ラインアーサはこの上なく寝覚めが悪かった。