《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
ラインアーサとハリの二人はジュリアンとは別の班となり、城下の街を見回る事となった。その他の班はノルテ地区や旧市街を含む各地域を見回る手筈だ。
「ハリ、別に一緒じゃあなくたって俺は大丈夫だけど。それよりもさっき頭痛って言ってたけどお前こそ平気なのか? なんなら、癒しの…」
「本当に大丈夫ですから…!」
ラインアーサはハリの額に触れようと手を伸ばすも、直前で強く振り払われてしまった。
「!!」
「……すみません。本当に大丈夫なのでご心配なく」
「そうか? ならいいけど……」
いつもと少し様子の違ったハリを心配するも、本人はあくまでも普段通りに振る舞うつもりらしい。だが、少しでも辛そうな素振りが見えれば多少無理にでも休ませるつもりだ。
画して、早朝から城下の街を隈なく見回っているのだが、その街の様子は至って平穏そのものだった。むしろ良い事な筈だが何処か腑に落ちず、不安な気持ちを拭えない。
「───すごく、平和ですね」
ラインアーサが所属する班の班長、エミリオが小さく呟いた。
「そうだな、既に父上がノルテでの事件とそれに伴う注意事項を発表した筈なんだが……」
「ハリ、別に一緒じゃあなくたって俺は大丈夫だけど。それよりもさっき頭痛って言ってたけどお前こそ平気なのか? なんなら、癒しの…」
「本当に大丈夫ですから…!」
ラインアーサはハリの額に触れようと手を伸ばすも、直前で強く振り払われてしまった。
「!!」
「……すみません。本当に大丈夫なのでご心配なく」
「そうか? ならいいけど……」
いつもと少し様子の違ったハリを心配するも、本人はあくまでも普段通りに振る舞うつもりらしい。だが、少しでも辛そうな素振りが見えれば多少無理にでも休ませるつもりだ。
画して、早朝から城下の街を隈なく見回っているのだが、その街の様子は至って平穏そのものだった。むしろ良い事な筈だが何処か腑に落ちず、不安な気持ちを拭えない。
「───すごく、平和ですね」
ラインアーサが所属する班の班長、エミリオが小さく呟いた。
「そうだな、既に父上がノルテでの事件とそれに伴う注意事項を発表した筈なんだが……」