《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「……なあアーサ。俺、思ったんだけど。これってスズランちゃんにも当て嵌まるんじゃあないか?」
ジュリアンが閃いたと言わんばかりに顔を覗き込んでくる。ラインアーサは今まさに思っていた事を指摘され、思わず狼狽した。
「あの子まだ未成年だろ? しかもあの容姿から見て、確実に他国からの移民だろうし。違うか?」
先ほどラインアーサが感じた違和感はこれだ。違和感が確信に変わり全身から血の気が引いてゆく。犯人の狙いはまだ不明瞭だが未成年の少女、尚且つ他国から移り住んだ民を意図的に狙って攫っている様に感じる。
「ジュリ、俺……」
「……しょうがないな、行けよ。報告と後の事は俺達に任せろ。ほんと落ち込んでる暇なんかないな…!」
ジュリアンは漸く両肩から手を離すと、今度はラインアーサの背中を軽く押した。
「っ…悪い、頼むよジュリ」
ジュリアンに頭を下げスズランの働く酒場の方へと走り出そうとしたが、視界の隅にハリの姿を捉え思わず足を止めた。
「ライア…。こんな時にどちらへ?」
「……ハリ」
本日の事案の詳細を早急に報告書へと纏め終えたハリが、不思議そうな顔をこちらへ向けている。
ジュリアンが閃いたと言わんばかりに顔を覗き込んでくる。ラインアーサは今まさに思っていた事を指摘され、思わず狼狽した。
「あの子まだ未成年だろ? しかもあの容姿から見て、確実に他国からの移民だろうし。違うか?」
先ほどラインアーサが感じた違和感はこれだ。違和感が確信に変わり全身から血の気が引いてゆく。犯人の狙いはまだ不明瞭だが未成年の少女、尚且つ他国から移り住んだ民を意図的に狙って攫っている様に感じる。
「ジュリ、俺……」
「……しょうがないな、行けよ。報告と後の事は俺達に任せろ。ほんと落ち込んでる暇なんかないな…!」
ジュリアンは漸く両肩から手を離すと、今度はラインアーサの背中を軽く押した。
「っ…悪い、頼むよジュリ」
ジュリアンに頭を下げスズランの働く酒場の方へと走り出そうとしたが、視界の隅にハリの姿を捉え思わず足を止めた。
「ライア…。こんな時にどちらへ?」
「……ハリ」
本日の事案の詳細を早急に報告書へと纏め終えたハリが、不思議そうな顔をこちらへ向けている。