《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「何してんだよ、スズ! 早くそいつから離れろ!! おい、あんた! スズからその手を離せっ!」
「っ…嫌だ。それは出来ない!!」
普段ならセィシェルとは張り合わずに躱す所なのだが今はそんな余裕など無く、つい声を荒げてしまった。
「っな!? 大体何なんだよあんた! 最近ずっと俺たちの周りをうろつきやがって…。はっきり言って目障りなんだよ! これ以上スズに手出ししようってんなら容赦しない」
「ちがうっ…俺はただスズランを守りたいだけだ!」
「はぁ?! 守る? 何から?? 俺だってお前みたいな男らからずっとスズを守って来たんだ! 怪我したくなかったら早く俺たちの前から消えろよ!!」
セィシェルが鋭い目つきをこちらに向けてくるが、ラインアーサも負けじと睨み返す。
「やめて……二人とも」
大雨の中、雨音に掻き消されそうなほど弱々しく震えたスズランの声にはっとした。ラインアーサは冷静さを保つ様に低い声を絞り出す。
「……とにかく今はお前にかまっている暇などない。俺はスズランとマスターに話があって来た。お前は店に戻ってくれ」
「はっ! こっちは話す事なんかないね! 今すぐ帰るのはあんたの方だ!!」
「っ…嫌だ。それは出来ない!!」
普段ならセィシェルとは張り合わずに躱す所なのだが今はそんな余裕など無く、つい声を荒げてしまった。
「っな!? 大体何なんだよあんた! 最近ずっと俺たちの周りをうろつきやがって…。はっきり言って目障りなんだよ! これ以上スズに手出ししようってんなら容赦しない」
「ちがうっ…俺はただスズランを守りたいだけだ!」
「はぁ?! 守る? 何から?? 俺だってお前みたいな男らからずっとスズを守って来たんだ! 怪我したくなかったら早く俺たちの前から消えろよ!!」
セィシェルが鋭い目つきをこちらに向けてくるが、ラインアーサも負けじと睨み返す。
「やめて……二人とも」
大雨の中、雨音に掻き消されそうなほど弱々しく震えたスズランの声にはっとした。ラインアーサは冷静さを保つ様に低い声を絞り出す。
「……とにかく今はお前にかまっている暇などない。俺はスズランとマスターに話があって来た。お前は店に戻ってくれ」
「はっ! こっちは話す事なんかないね! 今すぐ帰るのはあんたの方だ!!」