《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
スズランはセィシェルの発言を頑なに否定する。
「違わないだろ! ……だったら、なんで最近笑わなくなった? スズが好きなのはこいつだろ…っ俺の気持ちは迷惑なんだろ!? でも……それでも構わない! 俺はお前が好きなんだ!! だからっっ」
セィシェルが何を言っているのか理解できない。スズランは先程から何度もラインアーサの事は好きではないと宣言していると言うのに。
「───待ってくれ、話がよく見えない。それに今は緊急事態って言っただろう! とりあえず店の中に入って話を聞いて…」
「……帰って…!」
土砂降りの中でスズランが小さく呟いた。漸くこちらを向いたその瞳は、雨で濡れているのか涙で濡れているのか判らなかったがとても苦しげな表情だった。
「スズラ…」
「帰ってよ! あなたに出すお酒は一滴もないの! もう、店に来ないでくださいっ…」
スズランのその言葉に心臓がずしりと重くなる。やはりラインアーサの想いは一方通行だ。
「おいスズ、いいのかよ……」
ラインアーサは意を決してスズランの瞳を見据えるとにこりと微笑んだ。
そして耳元に口を寄せ優しく囁く。
「分かった…。じゃあ本当に今日で最後にするから」
「違わないだろ! ……だったら、なんで最近笑わなくなった? スズが好きなのはこいつだろ…っ俺の気持ちは迷惑なんだろ!? でも……それでも構わない! 俺はお前が好きなんだ!! だからっっ」
セィシェルが何を言っているのか理解できない。スズランは先程から何度もラインアーサの事は好きではないと宣言していると言うのに。
「───待ってくれ、話がよく見えない。それに今は緊急事態って言っただろう! とりあえず店の中に入って話を聞いて…」
「……帰って…!」
土砂降りの中でスズランが小さく呟いた。漸くこちらを向いたその瞳は、雨で濡れているのか涙で濡れているのか判らなかったがとても苦しげな表情だった。
「スズラ…」
「帰ってよ! あなたに出すお酒は一滴もないの! もう、店に来ないでくださいっ…」
スズランのその言葉に心臓がずしりと重くなる。やはりラインアーサの想いは一方通行だ。
「おいスズ、いいのかよ……」
ラインアーサは意を決してスズランの瞳を見据えるとにこりと微笑んだ。
そして耳元に口を寄せ優しく囁く。
「分かった…。じゃあ本当に今日で最後にするから」