《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「そうか……」

 ユージーンが安堵し、短く息を吐く。

「で、さっきの話だけど。わざわざ王宮で保護とか意味わかんねぇし! スズは俺が守るからな!!」

 先ほどよりも挑戦的な視線をぶつけてくるセィシェルを受け流し、正面に向き直って話を進める。

「では、マスター。今言った要点だけは守って貰えれば…」

「へっ! あんた王宮の関係者だかなんだか知らないけど、こんな物騒な事件早いとこ解決して欲しいもんだぜ!!」

 そう吐き捨てるとセィシェルは客間を出て行った。

「……度々の無礼、申し訳ございません。あれも幼い頃、内乱がまだ落ち着かない頃に母親を亡くしまして……多少気が短いと言うか」

 ユージーンが困り気味に苦笑する。やはりこの親子も内乱による多大な被害を受けているのだ。その事実に複雑な気持ちになる。

「マスターが謝らなくても良いよ。それより気になってたんだけど…。マスターは何時から俺の正体に気づいていたんだ?」

「初めからでございます」

「最初から?! な、何で判ったんだ?」

 変装に自信がある訳ではないラインアーサだが、初めから判っていたと言われてしまうと流石に動揺を隠せない。
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