《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
この話題をイリアーナやライオネルに尋ねても必ずはぐらかされてしまう。ユージーンがその能力の事を知っているのであれば、どんな小さな情報であれ得ておきたい。
「……あの、忌まわしい能力の事。でしょうか?」
「え…?」
今程まで落ち着いた雰囲気だったユージーンの声色から、僅かに怒りの様な気配が発せられる。普段は見せない厳しい表情のユージーン。
「あの忌まわしい力があったが為にアナ…、エテジアーナ様はお体を壊してしまわれたのです」
「忌まわしい能力って、古代リノ族の力の事か?」
「古代リノ族の力? ……あれがそう呼ばれる力なのかは存じませんが、元々他人の為ならばご自分の身を顧みないほど献身的な気質のエテジアーナ様には、絶対にあって欲しくなかった能力なのは確かです」
何処かで似た様な──自分の場合はもっと辛辣な物言いだが──聞いたことのある言葉にラインアーサはどきりとした。
「どんな、力なんだ…?」
「貴方様がご存知ない、と言う事はアーサ様にもイリア様にもその能力は遺伝しなかったと言う事ですね」
「……多分」
「それは良かった…。あの能力はエテジアーナ様の実の妹でも持ち得なかったのですから」
「……あの、忌まわしい能力の事。でしょうか?」
「え…?」
今程まで落ち着いた雰囲気だったユージーンの声色から、僅かに怒りの様な気配が発せられる。普段は見せない厳しい表情のユージーン。
「あの忌まわしい力があったが為にアナ…、エテジアーナ様はお体を壊してしまわれたのです」
「忌まわしい能力って、古代リノ族の力の事か?」
「古代リノ族の力? ……あれがそう呼ばれる力なのかは存じませんが、元々他人の為ならばご自分の身を顧みないほど献身的な気質のエテジアーナ様には、絶対にあって欲しくなかった能力なのは確かです」
何処かで似た様な──自分の場合はもっと辛辣な物言いだが──聞いたことのある言葉にラインアーサはどきりとした。
「どんな、力なんだ…?」
「貴方様がご存知ない、と言う事はアーサ様にもイリア様にもその能力は遺伝しなかったと言う事ですね」
「……多分」
「それは良かった…。あの能力はエテジアーナ様の実の妹でも持ち得なかったのですから」