《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「言わせておけばいいよ。それに殆ど事実だしな」
その人物の問いに、ラインアーサは自嘲的な笑みを浮かべる。
「……全く。もう此処へは顔を見せないと思っていたのに」
「俺もそのつもりだったんだけどな。でも、来るって分かってたんだろ?」
「そうね。全ては星々のお導きによるものよ…。今回はまた随分とお困りのご様子ね? ライア」
ランプが妖しく灯る薄暗いカウンターの向こう側には、海の如く碧い虹彩を持った人物が居た。その瞳で窘める様な視線を寄越したかと思えば、にこりと柔らかく微笑んだ。
「……困ってるって言うか、わからないんだよ。どうすればいいのか」
「あのね。それを困ってるって言うのよ? やれやれね」
「はは、かなわないな。ヴァレンシアには」
短く息を吐くとまた小さく苦笑するラインアーサ。
対するのはこの古い酒場の女主人、ヴァレンシアだ。波うつ青い髪を高い位置で結い上げ、華奢な硝子と金細工の髪飾りで纏めている。
星を読む特技があり、報酬次第で気まぐれに客を占い生計を立てている。頼まれれば強力な呪い等もかけると密かに噂されている旧市街では名の知れた人物だ。
「ふふ。ライアは全然変わらないわね」
その人物の問いに、ラインアーサは自嘲的な笑みを浮かべる。
「……全く。もう此処へは顔を見せないと思っていたのに」
「俺もそのつもりだったんだけどな。でも、来るって分かってたんだろ?」
「そうね。全ては星々のお導きによるものよ…。今回はまた随分とお困りのご様子ね? ライア」
ランプが妖しく灯る薄暗いカウンターの向こう側には、海の如く碧い虹彩を持った人物が居た。その瞳で窘める様な視線を寄越したかと思えば、にこりと柔らかく微笑んだ。
「……困ってるって言うか、わからないんだよ。どうすればいいのか」
「あのね。それを困ってるって言うのよ? やれやれね」
「はは、かなわないな。ヴァレンシアには」
短く息を吐くとまた小さく苦笑するラインアーサ。
対するのはこの古い酒場の女主人、ヴァレンシアだ。波うつ青い髪を高い位置で結い上げ、華奢な硝子と金細工の髪飾りで纏めている。
星を読む特技があり、報酬次第で気まぐれに客を占い生計を立てている。頼まれれば強力な呪い等もかけると密かに噂されている旧市街では名の知れた人物だ。
「ふふ。ライアは全然変わらないわね」