《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「そうかな。この四年間、勢いに任せ過ぎたかとは思ってるけど」

「そんな顔しちゃって。貴方も落ち込むなんて事あるのね」

「別に落ち込んでなんか。でも、母の事はやっぱり衝撃を受けたよ……」

 あれからライオネルとはまともに話をする時間を取れていない。事件の報告は済んだものの、何かと理由を付けては話し合いを避けられてしまっている。イリアーナも本格的に体調が優れないらしく、きちんとした見舞いもろくに出来ていなかった。
 国全体に未成年者個人での外出禁止令が出された事により、ライオネルの側近のコルトやハリもその対応で慌ただしく働き通しだ。

「いつまでも沈んでいたって仕方がないわ。きっと何か理由があるのよ、貴方に黙っていた理由がね」

「どんな理由があるって言うんだ! とても大切な事なのに……」

「知りたいのなら、今ここで占ってみる? 何かしら分かるかもしれないわよ?」

 暫しの沈黙の後、ラインアーサは首を横に振った。

「いや、父から話してくれるのを待つ。自分で確かめるよ」

「そうね、それがいいわ。だったらこんな所に来てまでお酒飲んでないで、早く帰ったらどうなの?」

「ん……そうしたいのは山々なんだけど、もう少し…」
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