《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「だってその顔…! あらぁ? まあ!! ねえ。そんな純粋な貴方に、お客さんが見えてるわよ?」
「はぁ? 客って…」
「ほら窓の所、見て? あの可憐なお花みたいな子。どうやら貴方に用事があってここまで来たみたいだけど?」
ヴァレンシアに言われ振り向くと、信じられない光景を目の当たりにしラインアーサの瞳は限界まで見開かれた。窓の外にスズランが居る───。
「!? …っスズラン!? 何で…、どうやって此処に!?」
おかしい。先日酒場に張った結界からスズランが出た気配など一切感じなかった筈だが。
窓の外から店内の様子を伺うスズランと視線がかち合った。が、途端に窓から身を離し慌てて踵を返す。
「あ、逃げたわ。早く追いかけないと」
「っな、ちょっと待ってくれ! どうしてスズランが……まさか、俺に会いに? いや…」
(そんな訳……でも…!)
突然の事に動揺を隠せない。
「ちょっと! あれこれ言ってないで早く追いかけなさい! 今すぐ行かないと見失っちゃうわよ!?」
「あ……ああ。ごめんヴァレンシア! また来るから」
「ええ、早く行って捕まえて。捕まえたら今度は離しちゃ駄目よ?」
慌ただしく勘定をカウンターに置くとラインアーサは酒場の出入口へ走った。
「はぁ? 客って…」
「ほら窓の所、見て? あの可憐なお花みたいな子。どうやら貴方に用事があってここまで来たみたいだけど?」
ヴァレンシアに言われ振り向くと、信じられない光景を目の当たりにしラインアーサの瞳は限界まで見開かれた。窓の外にスズランが居る───。
「!? …っスズラン!? 何で…、どうやって此処に!?」
おかしい。先日酒場に張った結界からスズランが出た気配など一切感じなかった筈だが。
窓の外から店内の様子を伺うスズランと視線がかち合った。が、途端に窓から身を離し慌てて踵を返す。
「あ、逃げたわ。早く追いかけないと」
「っな、ちょっと待ってくれ! どうしてスズランが……まさか、俺に会いに? いや…」
(そんな訳……でも…!)
突然の事に動揺を隠せない。
「ちょっと! あれこれ言ってないで早く追いかけなさい! 今すぐ行かないと見失っちゃうわよ!?」
「あ……ああ。ごめんヴァレンシア! また来るから」
「ええ、早く行って捕まえて。捕まえたら今度は離しちゃ駄目よ?」
慌ただしく勘定をカウンターに置くとラインアーサは酒場の出入口へ走った。