《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
以前。街でスズランが悪漢に絡まれていたのを思い返し、ラインアーサは僅かに身を震わせた。
「っごめんなさい、わたし……邪魔するつもりじゃなかったの……も、帰るからあの人の所、戻って」
無理やり笑顔を作り、震える声で呟くスズラン。しかしその瞳からは次々と涙が溢れ出し、雨粒と一緒に頬を濡らす。無理に笑顔を見せようとするその姿にラインアーサの心は激しくかき乱された。
「泣いてるのか? なんでそんな顔するんだよ、何が……お前にそんな顔をさせるの?」
スズランの頬にそっと触れ、涙をぬぐう。すると急に顔をそらされてしまった。
「…っ」
「やっぱり……俺のせい?」
「ち、違う…」
「本当に?」
「ちがうもん」
「嘘だ。なら顔見せて?」
「だめっ…見ないで! わたしに触らないでっ…お願い……」
恥ずかしそうに頬を染め必死に瞳を逸らし、体ごと背けようとするスズラン。その様子に愛しさが湧き上がり、どうしようもない気持ちになる。
「…っスズラン」
堪らずスズランを抱きしめていた。
雨に濡れた所為で身体が冷え切っている。
「…っ!」
「……なあ、違ってたらごめん。スズラン、もしかして妬いてる?」
「っごめんなさい、わたし……邪魔するつもりじゃなかったの……も、帰るからあの人の所、戻って」
無理やり笑顔を作り、震える声で呟くスズラン。しかしその瞳からは次々と涙が溢れ出し、雨粒と一緒に頬を濡らす。無理に笑顔を見せようとするその姿にラインアーサの心は激しくかき乱された。
「泣いてるのか? なんでそんな顔するんだよ、何が……お前にそんな顔をさせるの?」
スズランの頬にそっと触れ、涙をぬぐう。すると急に顔をそらされてしまった。
「…っ」
「やっぱり……俺のせい?」
「ち、違う…」
「本当に?」
「ちがうもん」
「嘘だ。なら顔見せて?」
「だめっ…見ないで! わたしに触らないでっ…お願い……」
恥ずかしそうに頬を染め必死に瞳を逸らし、体ごと背けようとするスズラン。その様子に愛しさが湧き上がり、どうしようもない気持ちになる。
「…っスズラン」
堪らずスズランを抱きしめていた。
雨に濡れた所為で身体が冷え切っている。
「…っ!」
「……なあ、違ってたらごめん。スズラン、もしかして妬いてる?」