《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
抱きしめたまま小さく耳元で囁く。
「…っ」
恐る恐る聞いたもののもちろん返答なない。淡い期待を寄せたばかりか、思わずそんな願望を口にしてしまい恥ずかしくなりスズランから身を離す。
「……そんな訳ないか」
「ち、違うの…! わたしっ…ライアに謝りたくて、ここに来たの」
「謝る? 何を…」
「わたし、あの日あなたにお店に来ないでって言った事……すごく、後悔してて。なんであんな事言っちゃったんだろうって。本当にごめんなさい…。だから、また前みたいにお店に来て欲しいの!」
スズランの唐突な謝罪にやはり動揺する。
「どうして? ……俺の事、嫌いなんだろ?」
「ちがう…! わたしは…」
全身ずぶ濡れのスズラン。髪もいつもの給仕服も汚れて、膝には血が滲んでいた。
「なっ? お前この雨の中どこ通って来たんだ? 怪我してるじゃあないか…!」
「来る途中転んじゃって。でもこの位、たいしたことないよ。へいき…」
「平気じゃあない! すごく血が出てる。傷が残ったらどうするんだよ!! ほら、見せろって」
屈んでよく見ると小さな膝は擦り傷だらけだった。ここに辿り着くまで、一体何度転んだのだろう。
「…っ」
恐る恐る聞いたもののもちろん返答なない。淡い期待を寄せたばかりか、思わずそんな願望を口にしてしまい恥ずかしくなりスズランから身を離す。
「……そんな訳ないか」
「ち、違うの…! わたしっ…ライアに謝りたくて、ここに来たの」
「謝る? 何を…」
「わたし、あの日あなたにお店に来ないでって言った事……すごく、後悔してて。なんであんな事言っちゃったんだろうって。本当にごめんなさい…。だから、また前みたいにお店に来て欲しいの!」
スズランの唐突な謝罪にやはり動揺する。
「どうして? ……俺の事、嫌いなんだろ?」
「ちがう…! わたしは…」
全身ずぶ濡れのスズラン。髪もいつもの給仕服も汚れて、膝には血が滲んでいた。
「なっ? お前この雨の中どこ通って来たんだ? 怪我してるじゃあないか…!」
「来る途中転んじゃって。でもこの位、たいしたことないよ。へいき…」
「平気じゃあない! すごく血が出てる。傷が残ったらどうするんだよ!! ほら、見せろって」
屈んでよく見ると小さな膝は擦り傷だらけだった。ここに辿り着くまで、一体何度転んだのだろう。