《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「母様の事を気にしてるのなら、俺にだって非があるんだ。あの時……俺は何も出来なかった……それに! 姉上は被害者だ、連絡を取らなかったのだって他に理由があるじゃあないか!」
「違うのよアーサ、ちゃんと……ちゃんと話すわ。でも、お父様はこんなわたしの事を親不孝な娘だと思ってないかしら?」
イリアーナの声が震える。
「そんな事、あの父上が考えると思う? それにこうして俺が迎えに来たのは姉上にとって迷惑だった?」
イリアーナは全力で首を振りそれを否定した。同時に瞳から涙が零れる。
「だったら、姉上は何も心配しなくていいよ。帰ったらまず父上が離してくれないだろうし、しばらくはお祭り騒ぎになりそうだから覚悟しといて」
そう言いながらラインアーサは優しくイリアーナの肩を抱き寄せた。
「ありがとう……アーサ」
「たった二人の姉弟なんだから当たり前だよ。それに、早く泣き止んで……俺、女性の涙には弱いんだ」
「まあ、アーサったら……ふふ」
そんな言葉を微笑みながらさらりと口に出す弟を見て、イリアーナの心配事が一つ増えた。
「違うのよアーサ、ちゃんと……ちゃんと話すわ。でも、お父様はこんなわたしの事を親不孝な娘だと思ってないかしら?」
イリアーナの声が震える。
「そんな事、あの父上が考えると思う? それにこうして俺が迎えに来たのは姉上にとって迷惑だった?」
イリアーナは全力で首を振りそれを否定した。同時に瞳から涙が零れる。
「だったら、姉上は何も心配しなくていいよ。帰ったらまず父上が離してくれないだろうし、しばらくはお祭り騒ぎになりそうだから覚悟しといて」
そう言いながらラインアーサは優しくイリアーナの肩を抱き寄せた。
「ありがとう……アーサ」
「たった二人の姉弟なんだから当たり前だよ。それに、早く泣き止んで……俺、女性の涙には弱いんだ」
「まあ、アーサったら……ふふ」
そんな言葉を微笑みながらさらりと口に出す弟を見て、イリアーナの心配事が一つ増えた。