《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
そうしなければ理性を保っている自信がない。とにかく無心になって介抱する。大窓を開け、部屋に風を通す。そのまま暫くするとスズランの意識が回復した。
「……ん、わたし。お風呂…?」
「大丈夫か? 風呂で逆上せたみたいだな…。ほら、水飲める?」
「……お水、飲む…」
水の入ったカップを手渡すとスズランは少し身体を起こし、ごくごくと喉を鳴らして殆どの水を一気に飲み干した。その様子を眺めているだけでも邪な考えばかりがちらつく。ラインアーサはその考えを吹き飛ばす様に頭を左右に激しく振った。
「…? ライアがベッドまで運んでくれたの? …っあ」
起き上がろうとするがまだ状態は全快ではなくベッドに肘をつくスズラン。その姿は弱々しくも妙に色気を伴い目のやり場に困る。
「こら。急に起き上がろうとするな。立ちくらみを起こすから暫く横になってろよ! ったく相変わらずお子様だな」
ラインアーサはそれを意地悪な口調で誤魔化す。するとスズランは悲しげに眉を下げた。
「ごめんなさい。わたし、いつもライアに迷惑ばっかり…」
「へ? いや、俺は……別に迷惑だなんて、思ってない、けど…」
「っ…だって! また助けてくれたもん」
「……ん、わたし。お風呂…?」
「大丈夫か? 風呂で逆上せたみたいだな…。ほら、水飲める?」
「……お水、飲む…」
水の入ったカップを手渡すとスズランは少し身体を起こし、ごくごくと喉を鳴らして殆どの水を一気に飲み干した。その様子を眺めているだけでも邪な考えばかりがちらつく。ラインアーサはその考えを吹き飛ばす様に頭を左右に激しく振った。
「…? ライアがベッドまで運んでくれたの? …っあ」
起き上がろうとするがまだ状態は全快ではなくベッドに肘をつくスズラン。その姿は弱々しくも妙に色気を伴い目のやり場に困る。
「こら。急に起き上がろうとするな。立ちくらみを起こすから暫く横になってろよ! ったく相変わらずお子様だな」
ラインアーサはそれを意地悪な口調で誤魔化す。するとスズランは悲しげに眉を下げた。
「ごめんなさい。わたし、いつもライアに迷惑ばっかり…」
「へ? いや、俺は……別に迷惑だなんて、思ってない、けど…」
「っ…だって! また助けてくれたもん」