《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
「この間も言っただろ? 俺はお前を守りたい。それだけで…って、何言ってんだ。俺こそごめん」

 自分でも何を言ってるのか分からなくなり、何故か謝ってしまう。 スズランの火照って赤い頬が更に赤く染まった。

「ありがとう…。ライア」

「大した事ない。他に頭痛とかはないか? 何処か痛かったら治してやるから遠慮なく言えよ?」

「……も、だいじょうぶ…っ」

「そうか。でもその様子だと今日は泊まって行った方が良さそうだな」

「と、泊まるの?」

 泊まると聞いて不安そうなスズランを安心させようと、冗談めかして笑って見せる。

「お前に無理させたら俺がマスターに怒られる」

「っでも!」

「明日、ちゃんと朝一で酒場(バル)まで送るよ。さあ、スズランはこのままベッドを使えばいい」

「ラ、ライアは?」

 見上げてくる瞳は薄らと潤み、頬は赤く息もまだ少し上がっていて絶妙な色気を放つ。

「っ…俺は奥の部屋の長椅子(カウチ)で寝るから心配要らない。じゃあ、俺も湯を浴びてくるからお前はいい子で先に寝てろよな!」

 ラインアーサは早口でそう言い残し、浴室へと足早に駆け込んだ。

「──っなんだよ、あの顔! 何処がお子様だ…っ」
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