《完結》アーサ王子の君影草 ~ラインアーサの些かなる悩み事~
湯を浴びると言ったものの、ラインアーサは頭から水を被って冷静になろうと努めた。
「……あんな顔しないでくれよ」
ラインアーサは揺らぐ理性を必死に立て直そうとした。そして今度は湯船の熱い湯に浸かり、気持ちを切り替える。
湯から上がり簡素な上着を纏って浴室から出ると、スズランはベッドの上にちょこんと座っていた。
「スズラン…! なんで寝てないんだよ! それに湯冷めするだろ?」
「ライア…」
「どうした?」
「何だかよく分からないけど怖いの。わたし、黙ってお店出てきちゃったし、それに旧市街に来たのも初めてで…」
見知らぬ場所に来て不安なのだろう。うつむき、小さく震えるスズランの肩に毛布を羽織わせる。ラインアーサはベッドの側にある椅子に腰を掛けるとスズランに質問を投げかけた。
「スズランは何でそうまでして俺の所に来たの?」
「っだって。わたし、ライアに嫌われたくなくて…」
「どうして?」
「え…?」
「その嫌われたくないって、どういう意味?」
「わ、わからないの。でも、わたし。ライアに嫌われたらすごく悲しいの…!」
気が付けばスズランの瞳からはぽろぽろと涙がこぼれ落ちていた。
「……あんな顔しないでくれよ」
ラインアーサは揺らぐ理性を必死に立て直そうとした。そして今度は湯船の熱い湯に浸かり、気持ちを切り替える。
湯から上がり簡素な上着を纏って浴室から出ると、スズランはベッドの上にちょこんと座っていた。
「スズラン…! なんで寝てないんだよ! それに湯冷めするだろ?」
「ライア…」
「どうした?」
「何だかよく分からないけど怖いの。わたし、黙ってお店出てきちゃったし、それに旧市街に来たのも初めてで…」
見知らぬ場所に来て不安なのだろう。うつむき、小さく震えるスズランの肩に毛布を羽織わせる。ラインアーサはベッドの側にある椅子に腰を掛けるとスズランに質問を投げかけた。
「スズランは何でそうまでして俺の所に来たの?」
「っだって。わたし、ライアに嫌われたくなくて…」
「どうして?」
「え…?」
「その嫌われたくないって、どういう意味?」
「わ、わからないの。でも、わたし。ライアに嫌われたらすごく悲しいの…!」
気が付けばスズランの瞳からはぽろぽろと涙がこぼれ落ちていた。